仕事がたまっているのに進まない、デスクの上はメチャクチャ。部屋中に物があふれているけれど、何から片づければいいのかわからない、疲れてやる気が出ない...。
「デスクの状態はその人の頭の中の状態」という言葉を聞いたことはありませんか? 同様に部屋はその人の心の状態を表していることがあります。以前に比べてあまりにも片づけられない時は、余裕がなく疲れている、自分を大切にできない等々、心のあり方に原因がある場合が多いのです。
自分の部屋は守ってくれる場所
「雨露をしのぐ」という言葉があります。家や宿の表現にも使います。英語では“protect oneself from the weather”などといいます。風雨・寒暑といった厳しい環境から自分を「守る」という言い方には、家の根源的な本質が表れています。自分の家・部屋は、外の脅威から身を守ってくれる場所です。外で大変なことがあっても安心して眠り、食事をして、気力を回復できる場所でもあります。動物が巣を整えるように、人間は自分の部屋を整え、生活し、また好みに応じて飾り、他の人を招いたりもします。私たちが健やかに生きていく基盤となる場所が、自分の家や部屋なのです。
片づけられない状態が招く危険
人はたいてい自分の部屋を居心地良く整えようとするものですが、心身のバランスが崩れて気力が失われると、それができなくなることがあります。「片づけより今は充実している仕事が優先」というように、現状に満足して納得しているのなら良いのですが、自分の部屋が居心地悪く、片づけなければと思うのにできないと、さらに心に負担をかけることになります。自分を守り、気力を回復するための部屋が、逆に気力を奪う場になってしまいます。また掃除をする気力までなくなると、湿気やほこり・カビ・ダニなどのアレルゲン物質で直接的に健康を害することにもなりかねません。守ってくれるはずの部屋が、安心できない場所になってしまうのです。
自分を守ってくれる部屋に戻すために
部屋が心の状態を表すということは、心が疲れていても部屋を整えれば、回復できる環境を取り戻すことができるということでもあります。もちろん、医療の助けを借りるべき不調はすぐに受診しましょう。そうではない心の疲れを感じたら、部屋を片づけてみましょう。気力が出ない時の片づけは始めるまでが大変ですが、始めやすい方法があります。
1.少しずつ片づけて「不可侵スペース」を増やしていく
一気に片づけるのは大変ですが、小さなスペースだけならハードルは低くなります。玄関やベッド回り、トイレなど無理のない範囲を決めて片づけます。一度片づけたところは「不可侵スペース」にして散らかさないようにしましょう。不用品は処分しながら少しずつ「不可侵スペース」を広げていきます。
2.家族や親友など、親しい人を呼んで一緒に片づけてもらう
気を許せる親しい人と一緒に片づけると、驚くほどやる気が出るものです。一人ではどうしようもないと感じたら助けを借りましょう。また人を呼べば、その前に少し片づけようという気になりやすいものです。
3.専門業者に頼む
最後の手段は、ハウスクリーニングなどの専門業者に頼むことです。ある程度片づいていないと頼みにくいと感じる人も多いのですが、背に腹は代えられません。サービス内容や料金を調べて相談します。
完璧でなくても「ここまでできた」と思うことが大切です。自分を守ってくれる、居心地の良い部屋に戻ったところを想像して、楽しみながら始めてみましょう。