人間、生きていれば色々な悩みやストレスを抱えるものです。
昔から、お寺などの宗教施設はそうした人間の悩みに向き合う場でもありました。医学やカウンセリング、さまざまな分野のヒーリング技術が発達した現代でも、いくつかお寺を探してみると、座禅会や断食修行、最近静かな人気となっている山伏修行など、一時間くらいの会から数日間の泊りがけの修行まで、さまざまなメニューが揃っています。
修行で元気になった!?
ある施設に、ストレスを抱えた体調不良の人が泊まり込みで来たそうです。数日間早寝早起きをし、広い本堂に雑巾をかけ、規則正しい時間に精進料理を食べ、という生活を送っているうちに体調不良はどこへやら、帰る頃にはすっかり元気になってしまったとか。
日常から離れた場所で、泊まり込みの修行ならではの効果ももちろんあったのでしょうが、ここで注目したいのは雑巾がけ。無心に雑巾がけをすることで、悩みを忘れてほどよい運動に集中でき、免疫や代謝がアップしたという一面は見逃せません。
わざわざお寺などの施設へ泊りがけで出かけるのは、慣れるまでは敷居も高く、なかなか大変ですが、これを応用すれば自分の家でも似たような時間を過ごすことができます。
いざ、プチ修行タイム
まずは掃除の準備から。雑巾がけをするために、床はなるべく物を置かないスペースを広くしておきます。窓をあけて風を通し、先に掃除機やほうきで軽くゴミやほこりを取ったら、いよいよ雑巾がけ。モップ掃除や窓ふきなどでも無心に体を動かすことはできますが、床の雑巾がけのように全身を使う動きは、冬でも血行が良くなります。体調に合わせて無理のないスピードで。お寺の本堂のように最初から片づいているだだっ広い空間、というわけにはいきませんが、無心に運動しながら自分の部屋をきれいにできるのは一石二鳥です。
部屋の中がさっぱりしたら一息入れましょう。精進料理とは言わずとも、普段より少し手の込んだものや消化に良い食事にするのもいいかもしれません。
座禅ならぬ瞑想タイムもおすすめ。姿勢を正して座り、呼吸はゆっくりと腹式呼吸で。鼻から息を吸っておへその下あたり、なるべく深い場所に息がたまる様子をイメージします。息を吐くときは口から細く、吸うときよりもさらにゆっくりと吐き出していきます。イヤなことや悩みはひとまず追い払い、頭をからっぽにします。キャンドルやお香を焚いて、火を静かに見つめるのも良いでしょう。
掃除は汚れを清める行為です。掃除をすることで、同時に心に巣くったイヤな思いや悩みなどの心の汚れもきれいにし、炎を見つめて雑念を一緒に燃やすようなイメージをもってみます。落ち着いたら掃除や片づけをさらに進めるのもよし、ゆっくり本を読み、いい言葉や浮かんできたアイデアを書き留めておくのも良いでしょう。あるいは修行タイムは終了にして、がらりと雰囲気を変えてコメディーを見て思いきり笑ったり、外へ散歩に出かけても。
ゆっくり休む、ストレス発散に遊びに出かける……、疲れがたまったときの休日の過ごし方はさまざまですが、プチ修行気分で心を鎮めながら部屋を掃除する休日も試してみてはいかがでしょうか。