第3回: カラーユニバーサルデザイン

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やさしい空間

第3回: カラーユニバーサルデザイン

やさしい空間

色にもユニバーサルデザインがあります。色覚タイプの違いを問わず、より多くの人に利用しやすい製品や施設・建築物、環境、サービス、情報を提供するという考え方を「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」と言います。

カラーユニバーサルデザインの3つのポイントとして、

  • 出来るだけ多くの人に見分けやすい配色を選ぶ
  • 色を見分けにくい人にも情報が伝わるようにする
  • 色の名前を用いたコミュニケーションを可能にする

があげられます。

「色」は情報伝達手段として、日々発信されていますが、一般色覚者には「情報伝達」の役割を果たしていても、色弱者にとっては「情報が伝わらない」「不便さがある」「安全の確保ができない」ことがあります。

カラーユニバーサルデザイン01カラーユニバーサルデザインは、色弱者のためだけのデザインではありません。色弱者にも配慮したデザインをすることは、色覚の多様性の観点に立って最初から吟味し直し、伝えたい情報の優先順位を考え、情報の受け手が感じる印象や心理を考慮しながらデザインすることです。結果として一般色覚者にとっても「整理された見やすいデザイン」が作られるのです。具体的には、明るい色と暗い色を対比させる、彩度の低い色同士を組み合わせないようにする、コントラストをつける等、見分けやすくすることが大切です。

高齢者の身体的な変化は、「つまずきやすい」・「立ったり座ったりの動作が困難」・「平衡感覚が鈍る」など様々ありますが、忘れられがちなのが「目の衰え」で、その代表格が白内障です。白内障は個人によって程度の差はありますが、高齢になるにつれて白内障を発症する方が増える傾向にあります。80歳以上の高齢者はほとんどが何らかの形で白内障の症状を引き起こしているといわれています。白内障が進むと色を識別する能力が低下します。青と緑、青と灰色、白と黄などの見分けがつきにくくなるので、同色系でまとめられたインテリアは、その差がほとんど認識できなくなります。

つまずいたり転倒したりするのは、ある人にとっては足が衰えたからではなく、目が衰えたからなのかもしれません。そこで、年を重ねても暮らしやすくしるために室内にカラーユニバーサルデザインの考え方を取り入れてみてはどうでしょうか。目の衰えに対する家庭内事故を防止するには、照明の工夫も大切ですが、内装の色使いの工夫も大切です。各部位で気をつけたいポイントをあげます。

水平と垂直をわかりやすく

床と壁の色彩の差(コントラスト)が少ないと、床と壁の境目がわからず、足をぶつけてしまうことがあります。床(水平)と壁(垂直)がわかるように色に変化をつけることが大切です。また、同じ理由で、置き家具と床も色に変化をつけましょう。

室内で段差のあるところ

玄関タタキと上がり框、脱衣所と洗い場、浴室の洗い場と浴槽など、室内で段差のある個所は段差をなくすのが一番ですが、色の差をはっきりと出しておくことも効果的です。また、階段の蹴上と踏面も色のコントラストをつけて高さの違いを認識できるようにすれば、家庭内事故を減らすことに効果があります。

また、色彩には心理効果がありますが、いわゆる健常者と痴呆症高齢者、知的障害者、健康な高齢者で受ける色彩の印象が違います。アルツハイマー型痴呆症高齢者で同じ障害度であっても、本人の過去や職業、生活環境、教育などによって、同一色でも色から受ける感覚や感情、反応が異なります。痴呆症高齢者は相対的には明るい色を好みますが、必ずしも明るければ良いということではなく、例えば、単純な白色だけだと、目の置き場所が不安定になり、落ち着きがなくなります。