自力本願の癒し 終章: 再会

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カヴァース小説部

終章: 再会

 お兄ちゃんの部屋にあったとは。

 今までわたしは、押し入れや物置を一生懸命に探していた。それで、ホースロッキングもラウンドチェアもなくなってしまったと思っていたのだ。

 だけどそれらは、昔のままの美しい姿で、ちゃんとお兄ちゃんの部屋にあった。

 大事に布がかぶせられていて、そのために余計に見つけにくかったのだ。

 「ああ、会えたね」

 そっと布をはぐると、涙が出そうなほど懐かしい籐家具が顔を出した。

 「やっと来たね」

 と、ホースロッキングもラウンドチェアも笑っているようだ。ごめんなさい、本当に大切なのに。これからは絶対に側から離さない。

 

 可愛いホースロッキングの頭を撫でると、ゆらっと楽し気に揺れた。

 この揺れが夢を生んだ。想像が広がり、未来は無限大になった。

 ラウンドチェアに座ってみると、ため息がでるほど座り心地が良かった。体を受け止めてくれている安心感。自然素材の優しさ。まるで母なる地球に抱かれているようだ、と、おおげさかもしれないけれど、わたしは思った。

 (このまま、寝てしまいたい位居心地が良い)

 ホースロッキングはインテリアとして。

 ラウンドチェアは、わたしの休憩場所として自室に運び入れた。

 籐家具の嬉しいところは、軽やかなところだ。こんなに丈夫で頼りがいがあるのに、決して重たくはない。

 再会した籐家具と向き合いながら、わたしは、これを作った籐家具職人の、厳しく、僅かなずれも許さない、苛烈な戦いのような仕事を思う。

 そうやって作られた籐のラウンドチェアに体を預け、ほっと心身を休める。この癒しは、職人たちの厳しさの上に成り立っている。

 これは、価値のある癒し。

 他には代えがたい癒しだ。

 (明日も、お仕事頑張ろう)

 いちにちいちにちを、丁寧に、大事にしていこう。

 ホースロッキングを抱きしめながら、わたしは思った。 

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