第2話: 世界に認められる馬場家具のソファ それは職人の「手」が生み出す工芸品

世界に認められる工芸品
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カヴァースメディア部

現在、日本をはじめ、アメリカや中国、韓国、インドネシアなど、世界8カ国でソファを販売している馬場家具。グローバルに展開するソファメーカーと聞くと、工場にはさぞかしすごい機械を備え、ほとんどの生産工程が自動化されているというイメージがある。

「木材の大枠のカットは機械だけで行っていますが、それ以外の工程は全て職人の手で行っています」

驚くことに、馬場家具のソファはほぼ全ての工程は職人による手作業。注文を受けたソファを1つ1つ職人たちが作り上げていくのだ。その手によって生み出されるソファはもはやただの家具ではなく、まさに「工芸品」と呼ぶにふさわしい逸品である。

なぜ馬場家具のソファは「工芸品」と呼べるのか

ある一定規模以上のメーカーであれば、機械化されている工程が多いかもしれないが、馬場家具はそうではない。機械が全自動で行う工程はほとんどなく、職人たちの「手」によって行われている。

  1. 革の選別(傷の場所を確認、原皮を効率良く使えるよう選別)
  2. 布の裁断(人の目で細部をチェックしながら機械で裁断)
  3. 縫製(5種類ものミシンを使いこなす)
  4. 木材カット・加工
  5. 組み立て(ソファのベース)
  6. 張り(バネ・ウレタン・革)
  7. 仕上げ(細部まで確認、気になった点があれば分解して修正)

これらの工程を見ると、「ソファの生産」というよりも、職人1人1人が伝統工芸品を生み出す工程に近いことが分かる。だが、なぜ馬場家具は機械化を進めず、「手」でのソファ作りにこだわっているのだろうか。

「ソファに使う革は、ただ機械で綺麗に切れば良いってものじゃないんです」

革の原材料である皮は、牛1頭1頭の“くせ”があり、革に仕上げた時に1枚1枚傷の位置が異なるという。もちろん、革の傷を避けて切るよう機械を設定することはできるが、それでは本来使える部分も切り落としてしまう。1枚1枚の状態を見ながら、職人の手で革を切断することで革を無駄にすることもなく、ソファとして仕上がった時に、その革の美しさが引き立つのだ。その他、土台を組み立てるのも職人、もちろん革を張るのも職人の手。完成形にこだわる馬場家具の理想とするソファは、手作りでしか生み出せない。

わたしたちは、家具と言えば大量生産・大量消費を当たり前のようにイメージするが、ただ機械的に生産されたものが、はたして丁寧に手をかけて作られたソファと同じ土俵で比べられるだろうか。その答えは「No」。とことん「手」で作り上げる工芸品のごときソファ。使ってみたいと思わずにはいられない。

海外生産で国産にも負けないソファ品質を実現するコツ

馬場家具はベトナムの工場で生産を行っており、その工場では約300人の職人が働いている。現地の職人達を管理・教育しているのは日本人だが、これにはある理由がある。

「現地の職人達には、ソファを届ける人に親近感を持ってほしいんです」

他国の誰に届くかも分からない商品だからと職人が思っていると、その意識は生産工程すべてに影響を及ぼす。どれだけ良い材料をそろえ、技術力を向上させても、職人達が真剣に作業してくれなければ意味がない。そこで、馬場家具では現地に日本人を派遣し、職人達との関係性を築くことを大切にしている。日本人との交流を持つことで、自分達が作った商品を使う人達のことをイメージさせ、「もしかしたら自分の知っている人が使うソファかもしれない」と現地の職人達に思ってもらうことこそ、理想のソファを作るために重要な“材料”なのだ。

また、世界各国で販売している馬場家具のもとには、数々の厳しい指摘が届く。それをいかにスピーディーに商品に反映させるのか。実はそこでも「手作り」の良さが活かされる。機械化が進めば進むほど、改善をする際には工場の機械やラインを変える手間と時間、さらにはコストもかかってしまう。一方、馬場家具は手作業上で改良するので、高い品質をキープしたまま、スピーディーに対応できる。家具を手作りする利点はこういったところにもあるのだ。

つまり馬場家具は、世界中に材料ネットワークを張り巡らせ、低価格で高品質のレザーを調達し、世界中のお客様から指摘を受けながら手作りで品質を改善し続けているのだ。この会社が作るソファの品質が高いのは自明と言えるだろう。

馬場家具の歩みの集大成 「革」と「鉄」で作るソファ

馬場家具について深く知れば知るほど、ソファ作りにかける情熱に度々驚かされる。馬場家具が成長してきた環境は、婚礼家具という文化の衰退とともに原材料が国内では手に入れることが難しくなり、周囲の協力会社も早い段階から次々と姿を消していったという、決して恵まれた環境ではなかった。しかしこの環境こそが、馬場家具に対して常にチャレンジを促し、常に進化を促してきたのかもしれない。馬場家具はそのとてつもない試練に対して、1つ1つ丁寧向き合って回答を出してきた。日本の企業らしい、地道で力強い歩みに感服する。

現在も馬場家具はチャレンジをし続けており、ソファのフレームに「鉄」を採用した商品の生産に取り掛かっている。「革」と「鉄」によって作られる力強いソファはまさに、馬場家具らしさ、馬場家具そのものを体現したソファと言えるのではないだろうか。機械生産に対して常に疑問を投げかけ、1つ1つを丁寧に手作りする覚悟を決めている馬場家具にしか生み出せない、唯一無二のソファなのだ。

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