第2話: 見惚れずにはいられない 籐と本気で向き合うカザマの籐家具作り

  • URLをコピーしました!

カヴァースメディア部

現在、インドネシアを拠点に籐家具を生産しているカザマの強みは、何と言ってもその品質と完成度の高さ。唯一無二と言えるカザマの籐家具からは、籐に対するカザマの本気度やお客様に対する姿勢が伺える。

芸術品のごとき籐家具を生み出し続けるカザマの籐家具作りを支えているのが、「籐の品質」「製造工程」「オリジナルデザイン」の3つの柱。それぞれについて深掘りしながら、カザマの籐家具作りの真髄に迫ってみよう。

並々ならぬ「籐へのこだわり」

籐の価値を決めるのは、まずは材料である籐そのものの質だ。安くて低品質の籐を使った場合、どれだけ職人の腕が良くても、美しい籐家具を生み出すことは決してできないと言う。さらに、籐の品質は生産拠点のインドネシア内でも土地によって異なるため、質の高い籐を集めることは簡単なことではない。そのため、質にこだわらず安く籐を仕入れ、質の悪さを塗装で隠しているメーカーもあるほどだ。

「未だに籐の品質管理は非常に難しいです」

60年ほど前に生産拠点をインドネシアに移したカザマでさえ、籐の品質管理が最大の課題だと語る。しかし、カザマの籐家具作りにおいて、籐の品質に妥協するなんてことはあり得ない。高品質の籐を集めるため、目利きの現地社員が自ら籐の栽培地に出向いて品質をチェックし、そのお眼鏡に叶った籐のみが家具作りに使われるのだ。籐の保管にも細心の注意を払っている。籐は置き方を間違えただけで表面が黒ずんでしまうため、横に寝かせて保管している。

最高品質の籐を仕入れ、正しく保管。当たり前のように聞こえるが、これを徹底している籐家具メーカーはそう多くない。国内で籐家具を扱っているメーカーともなれば、カザマほど籐を知り尽くし、籐そのものにこだわっているメーカーはほとんどないだろう。並々ならぬ籐の品質に対する想いこそ、芸術品のように美しいカザマの籐家具作りの源なのだ。

他社には真似できない 籐家具の製造工程

籐家具がどうやって作られているか、残念ながら、知っている人はほとんどいないだろう。そもそも籐は、切ってすぐに家具の材料として使えるわけではない。

  1. 籐の節をとる
  2. 砂で表面の汚れを落とす
  3. 水で洗う
  4. 天日干しする
  5. 1本1本ピール(皮)と丸芯に分ける
  6. さらに1本ずつ角をとる
  7. むしたらゆっくり曲げて型をつける
  8. ゆっくり1ヵ月かけて煮込む

このようにしっかりと準備に時間をかけ、やっと籐家具作りのスタートに立てるのだ。ここまで時間をかけて下準備を行うことにも驚きだが、すべてを手作業で行っているという事実に思わず言葉を失ってしまう。ピールと丸芯を分け、角をとる作業に機械は使われているものの、全自動ではなく、1本1本人の手で機械を通し、仕上げられていく。まずは準備にこれだけの手間をかけているのだ。

もちろん、籐を実際に家具に仕上げていく作業もすべて人の手で行う。カザマの籐家具への想いはインドネシアの職人たちにも受け継がれており、インドネシアにあるどの工場より、カザマの職人たち求められる基準は高いのだ。パーツ1つ1つの組み立てにも妥協せず、籐以外の部分まで頑固なまでに「美しさ」にこだわるのがカザマ流。工程の最終段階では、籐家具で懸念されることが多い手触りを良くするため、けばだちを火であぶって仕上げるほどの徹底ぶり。使い手がより快適に使える家具を目指し、普段は使い手が触れないような箇所まで美しく仕上げているのだ。ここまでこだわって作られているカザマの籐家具が、安く大量生産された籐家具に劣るはずがない。

最高品質の籐を活かす カザマオリジナルデザイン

籐の質にとことんこだわり、手作業で世界に1つの家具を作り出すカザマでは、オリジナルデザインの家具しか生産していない。カザマが生み出す家具は、どれも籐の美しさが光るものばかりだが、そこには籐の性質を知り尽くしたデザイナーの存在がある。

「籐の性質を考慮しながらデザインするにはソフトは使えません」

現在、家具のデザインにパソコンソフトを使っているメーカーも多い中、カザマのデザインはすべて手書き。デザインを実際に見ると分かるが、その緻密さに感動せずにはいられない。デザイン1枚1枚がまるで芸術品のようで、アートとして飾りたくなるほど美しいのだ。このデザインをもとに、まずは現地で実際に家具を製作し、ミリ単位で修正を行っていく。自然素材の籐を相手にここまで細かい調整を行えるのは、籐家具の完成度にこだわるカザマだからこそだろう。

また、カザマが作る籐家具は、使っているときのことだけでなく、修理する時のことまで考えてデザインされている。これは他社には真似できない、籐のプロフェッショナルだからこその技。カザマのデザイナーは、どの地域のどの籐がどのような性質を持ち、どれだけの耐久性を持っているかを知り尽くしている。どの地域のどの籐をどの箇所が使うかをデザイン段階から考えられているのだから、3世代にわたってカザマの籐家具を受け継いでいる人がいるのも当然。

安く購入できる家具があふれている現在、「修理をしながらお気に入りの家具を長く使う」という考え方を廃れさせてはいけない。カザマの籐家具は、材料から製造工程、さらにはもととなるデザインに至るまですべてにこだわって作られている。人生をともにし、次の世代に受け継ぐ家具として、カザマの籐家具ほどふさわしいものはないだろう。

この記事のタグ

  • URLをコピーしました!