第4話: 作り手にも使い手にも愛される家具 秋田木工が伝える家具の在り方

  • URLをコピーしました!

カヴァースメディア部

秋田木工の創業は明治43年、実に100年以上の歴史を紡いできた。日本唯一の曲木専門工房として、他には真似できない曲木の技術を守り続けてきた秋田木工。この100年で秋田木工が築き上げてきたものは、着実に世代を超えて受け継がれている。これは100年以上磨き続けてきた曲木技術だけではなく、これまでお客様のもとに届けられた家具達にも同じことが言える。

作り手からも使い手からも愛される家具作り。これこそ、理想的な家具作りの形なのではないだろうか。秋田木工の家具作りを通して、家具に対する考え方を見直すことができるだろう。

世代を超えて継承される秋田木工の伝統

秋田木工の工場を見渡すと、他のメーカーの工場では珍しいある光景が目に入ってくる。熟練した職人と若手の職人が入り混じっているのだ。伝統的な文化を作り上げている企業の中には、若手不足に苦しんでいる企業も少なくない。一方、秋田木工には若手の職人が非常に多いのだ。おしゃれでいまどきな若者の隣で、白髪混じりの熟練した職人達が伝統技術を教え込んでいる。そんな光景が日常であると言う。

秋田木工の工場は秋田県湯沢市に位置しており、その規模は69人ほど。田園風景を広く見渡せる、そんな立地にある。そんな工場の中で、若手から熟練した職人まで、汗をかきながら真剣な眼差しで100年以上の伝統を受け継いで曲木家具を作り上げているのだ。

「まるで50人の家族だ」

日本の伝統技術が次々と影を潜めていってしまっている現状で、秋田木工の曲木技術は確実に若い世代に引き継がれている。

「秋田木工の曲木技術を次の世代にも残したい」

そうやって若手の職人が育つのは、これまでの100年、秋田木工が築き上げてきたものの偉大さを証明していると言えるだろう。

お客様に愛され受け継がれる家具

「50年近く使っていてもまだまだ丈夫。今度は孫に譲る予定なんです」

これは秋田木工の家具を使っているお客様の声だ。秋田木工の古くからのお客様の中には、親子3代で使っている方々も多いというから驚き。世代を超えて受け継がれるなんて、量産されている家具ではまずありえない。丈夫で品質が高いために長く使える、ということは当たり前だが、これは単に品質が高いからというだけではなさそうだ。丈夫で長持ちするだけであれば、親は我が子にそれを伝えたいとは思わないだろうし、子供も受け取ろうとは思わないだろう。お客様が秋田木工の伝統と技術を手にする意味を理解しており、その伝統技術を後世まで伝えていきたいということなのではないだろうか。

家具にこだわっている人は多いが、その家具が生み出された背景にまで目を向ける人は少数だ。家具は生活を豊かにするためのアイテムだが、私達の心を豊かにしてくれる相棒でもある。機械的に作られたその場しのぎの家具ではなく、愛情のこもった秋田木工のような家具を選べる人間になりたいものだ。

秋田木工が伝える日本の家具の在り方

秋田木工はお客様に何を提供しているのだろうか。もちろん家具を製造して、それをお客様に販売をしているのだが、それ以上に大きな意味があるのではないだろうか。家族のようにお互いを気にかけ、時に切磋琢磨する職人達がいて、世代を超えてその技術や伝統を継承していく。そしてその家具を購入するお客様は、親子3代に渡ってその商品を受け継いでいく。そこには、日本人が忘れてしまった、日本の家具の在り方のようなものが感じられる。日本のものづくりとは、本来、作り手にも使い手にも愛されるものを作ることを軸としていたことに気づかされる。

例えば、今ではあまり見かけなくなった婚礼家具。自分が結婚したときのものを子供に渡すのは当たり前のことだった。着物もそうだ。一世代前には日本の職人が技術力を磨き、品質を磨き、それを次世代まで引き継いでいくという文化があった。しかし、安価な家具や洋服が次々と輸入されるようになると、短期間でどんどん使い捨てる習慣が根付いた。その習慣も否定されるものではないが、技術や商品が継承されていく文化が薄れていくのは、何ともさみしく虚しいものだ。

秋田木工は、日本が世界に誇るべき文化を象徴する技術、品質、お客様を持っている。秋田木工が販売している商品の存在意義は非常に大きく、これからも唯一無二の輝きを失うことはないだろう。自分の子、孫に受け継ぎたいと思える家具。そんな家具と出会うことができれば、人生が変わると言っても過言ではないのだ。

この記事のタグ

  • URLをコピーしました!