【モリタインテリアのリビングセット×30代女性】ライフワークを向上する自宅兼事務所

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カヴァース建築部

「デザイン」とは何でしょうか。ことプロダクトデザインの世界では、美的造形だけではなく、機能や意味を昇華させる極めて重要な工程です。デザインの定義を知った上でモリタインテリアのリビングセットを見てみると、たくさんのことに気付かされるはずです。ソファは、組継や留めなどの伝統的工法を用いたデザイン。テレビボードはしっかりとしたウッディ感を醸成するスクエアのフォルムに、軽やかな抜け感と掃除のしやすさを考えたフロートデザイン。リビングテーブルは、天板の外側からつながるスクエアの脚がユニークなデザイン。いずれも直線的でシンプルな形ながら、計算され尽くした高いデザイン性を感じられます。

まっすぐに伸びるフォルムをモダンスタイルに合わせたり、いきいきとした木目をナチュラルテイストに組み合わせたり。この振り幅の大きさこそ、優れたデザインの賜物です。今回はこのモリタインテリアのリビングセットを中心に、デザイナーとして独立したばかりの30代女性が過ごすリビングを想定して、コーディネートを探ってみましょう。

「はい、かしこまりました。それでは水曜日15時、よろしくお願いいたします」

少し緊張した様子で電話を切ったのは、グラフィックデザイナーとして独立したばかりの30代の女性です。モリタインテリアのリビングセットがある空間。彼女は大きなファブリックソファに座り、コーヒーをひと口飲みました。ソファにテレビボードにリビングテーブル、モリタインテリアのリビングセットが持つ木のぬくもりが調和するナチュラルテイストの部屋です。

モリタインテリアは、日本一の家具生産地・福岡県大川市の企業。品質とデザイン性にこだわった家具づくりで知られています。1点1点職人による手作りだった家具製造がライン化して量産され始めた1970年前後から、当時としては珍しく社内にデザイナーを置いていたほど、デザインへのこだわりが強いメーカーです。そんなモリタインテリアのリビングセットを、グラフィックデザインに携わる彼女が選んだのもうなずけます。女性はふいに反対側の白いソファに移動し、モリタインテリアのソファを敬意を持って見つめました。

レンガ風の壁面クロスや木目がモリタインテリアのリビングセットをやさしく包む

「モリタインテリアのリビングセットは本当にすごいわ。“素敵”とか“おしゃれ”とかいう言葉が陳腐に聞こえるぐらい。このソファの伝統的工法が生きるデザインって、どう考えたのかしら」

ソファとリビングテーブル、テレビボードのウッディな質感と調和するナチュラルスタイルの部屋。女性はこのリビングセットが放つぬくもりをそのまま生かすため、フロアと天井は板張りにして、壁面クロスにはレンガ風のパターンを選んだのです。モリタインテリアのリビングセットとの木目の干渉を防ぐために敷いたラグは、ソファのブルーの張地と相性の良い淡いグレー。ベースのホワイト、木目やレンガのナチュラルカラーと、色数を抑えたため、ソファのフレームやリビングテーブルの脚部デザイン、テレビボードのフロート感が際立ちます。

カウンターテーブルは、彼女が独立するに当たり新たに設けました。もちろん、モリタインテリアのリビングセットに合わせた木目のナチュラルな天板を使用し、師匠から贈られた北欧家具の名作・Yチェアを合わせています。自宅兼事務所としてスタートするためにもうひとつ新しく取り入れたのは、リビング兼ワークスペースとダイニングをゾーニングするオープンシェルフ。それまではダイニング側の大きな窓からたっぷりの光を取り込む開放的で明るい空間でしたが、仕事に必要な資料などを整理するために取り入れました。背板のないオープンタイプなので光も風も透過、背の高いタイプでも圧迫感を感じさせない収納家具です。

モリタインテリアのリビングセットのある空間をオープンシェルフでゾーニング

オープンシェルフのメリットを最大限に生かすなら、グリーンやフラワーベースなどのディスプレイスペースを多くして、書類やボックスなどで埋めてしまわないように。また、ゾーニングのために面を見せられるよう、ところどころ木のボックスをはめ込んでいます。シェルフのグリーンに対し、くすんだトーンの葉色で空間を邪魔しないオリーブの木をモリタインテリアのソファの横に添えてバランスをとっています。

「リビングとダイニングを兼用してワークスペースだけを分けるか、ワークスペースとリビングを合わせて、ダイニングだけをゾーニングするか。オープンシェルフの置き方にとても迷ったけれど、これが正解。だって私はクリエイターだもの」

彼女はデザイナーとしてフリーランスの道を歩み始めたクリエイターです。「『最良の生活者』たれ」とは、日本を代表するデザイナー・田中一光の著名な言葉。彼女はこの「生活」の場をリビングと捉えたのです。オンとオフと行き来するのではなく、生活のすべてがデザインになるように。「仕事として」のデザイナーではなく「ライフワーク」としてのデザイナーでいられるように。

モリタインテリアのリビングセットそれぞれのデザインを際立たせるコーディネート

世の中は移り気で、新しい物事が次々に生まれては消えていきます。そんな中で重要なのは、根幹となる部分は手を抜いてはいけないという、どんな仕事においても絶対に守らねばならないこと。「真似てもバレなければ良い、売れれば良い、早く終われば良い、それっぽいものなら良い」程度のものは遅かれ早かれ姿を消します。女性がモリタインテリアのリビングセットに尊敬のまなざしを向けるのには、そんな理由があったのです。ふと、女性の傍の電話が鳴りました。

「お世話になります。はい、新しいプロジェクトですね、承知しました!えっ、地中海を感じるデザイン?」

「最良の生活者=デザイナー」でいられるよう、リビングとワークスペースを兼用した空間。モリタインテリアのリビングセットのそばで、オリーブの葉がかすかに揺れました。