【多様性を包容するリビング】同性カップルが描くダイバーシティ空間

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カヴァース建築部

ダイバーシティ。働き方改革などでメディアにも取り上げられるようになり、現在では定着した「多様性」を意味する言葉です。今回は木のウッディな質感とアイアンの脚でつくる異素材ミックスが特徴的なダイニングテーブルと、天板と同じ素材を使った木製のテレビボードをピックアップ。この部屋に暮らす同性カップルの、多様性をテーマにしたリビングコーディネートを解説しましょう。

「ダイバーシティとは、性別・国籍・人種・年齢などのさまざまな違いを問わず、多様な人材を認め、活用すること、日本語で言うと多様性で…何かいい例はない?」
「あぁ、午後のホームパーティのスピーチの内容ね。せっかくこの部屋で開くんだからこれしかないんじゃない?『多様性とは我が家のリビングだ』って」

二人の暮らす部屋は無骨なインダストリアル風。モルタルの壁にモザイクの床、素材感あふれる空間の中央には1台のテーブルが置かれています。ぬくもりあふれる木の天板にアイアンの脚を組み合わせた異素材ミックスは、それ1台でそれぞれの素材を活かし合う「ダイバーシティ」とも言えます。二人がまだ一緒に住み始めた頃は2脚だけだったチェアの対面に、ベロア素材のベンチを合わせました。二人の関係が広がり、多様な仲間を集めていくように。

木のぬくもりとアイアンのクールな質感、異素材を組み合わせたデザイン性の高いテーブル

「なるほどね、インダストリアルなインテリアに多様な質感を組み合わせてそれぞれの良さを活かす。ダイバーシティの説明にぴったりね。木が持つ生命のぬくもりとアイアンの無機質な質感。チェアの座面の革やベンチの張地のベロア。ほら、私が集めたこの植物だって、いろんな形のベースやポットで遊んでいるでしょう」
「人間にも空間にも『遊び』って重要よね。でも遊びにもルールって重要じゃない?例えばチェアとベンチの脚。気付いてた?脚のデザインを同じ色、似た形状にしていたってこと」

テーブルの木とアイアン、チェアの革、ベンチのベロア、それぞれの素材感が生きる空間

さまざまな素材の持つ質感をそのまま活かしながら組み合わせて、空間を遊ぶ。もちろんゆるやかなルールの中で。二人の場合、それが「色」でした。フロアの深い色味に合わせてチェアはダークブラウンに、壁面のモルタルに合わせてベンチは明るいグレーに。チェアとベンチの脚をリンクさせたのは、バラエティ豊かな質感の中に「座る」という機能で統一感を持たせたかったからです。こうしたゆるやかなルールが、さまざまな質感を共存させて生まれる副産物「違和感」を払拭します。

異素材ミックスのテーブルを中心に、十人十色の素材が生きるダイバーシティ空間が生まれた

「使い方だってダイバーシティよ、だってこの窓際のローボード、もともとは私の部屋のテレビボードだからね。使い方を多様に考えたんだから」
「そうそう、テーブルの質感が気に入って、同じ素材のものを買ったんだよね。買い足して並べればギャラリー風にできる。植物もそうよ、たくさんの形状が目に楽しいから等間隔に並べたの。アーティスティックでしょう」

1組めのゲストが到着しました。二人とは年齢も性別も違う外国人カップル。テレビボードに並ぶ本にカバリングして、部屋の色数を増やさない工夫に「最高にクール!」とサムズアップしています。2組めのゲストは予定になかった娘の友だちも一緒に連れています。

「ベンチだから、多少人数が増減してもOKよ」

「テーブルにはチェア」じゃなくてもいい。「すべて同じ」じゃなくてもいい。「同じ素材」じゃなくてもいい。木もアイアンも革もベロアも、そのままの存在が光り輝くダイバーシティ空間が、ゆるやかなルールの中で完成しました。

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