リビングを学習の場にーリビング学習のメリット・デメリット

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カヴァース編集部

家具の機能は、ものを載せたり、収納したり、座ったりすることにだけあるわけではない。家具は、その色や素材、組み合わせによって部屋を快適な空間に整え、そこで過ごす人の心理面にも大きな影響を与えるのだ。このシリーズでは、「家具がもたらす価格以外の価値とは何か」に迫る。

本記事では、リビングを学習の場として活用する「リビング学習」を取り上げる。リビング学習は、親の目が届くリビングならではのメリットが豊富な学習スタイルだ。今回は、リビング学習のメリットに加えて、デメリットや便利な家具・グッズもご紹介する。

リビング学習とは?

リビング学習とは、リビングやダイニングスペースで子どもが学習すること。親の目が届く範囲で学習することにより、集中力や学習効率のアップが期待できる方法だ。従来、自分の部屋で宿題や勉強をする子どもが大半だった。現在の親世代には「勉強は自室で」というイメージが強いだろう。

しかし「リビングで勉強している子は学力が伸びる」とリビング学習が話題になり、ここ10年ほどで徐々に家庭に浸透していったのだ。また「東大生の8割がリビング学習をしていた」という内容の書籍が発行され、巷の注目を集めたのも記憶に新しい。

現在では、小学生の過半数がリビング学習を行っているという調査結果もある。低学年期だけでなく、高学年までリビングを学習の場として活用している小学生も多い。ひと昔前は斬新だったリビング学習だが、今や定番の学習スタイルとなったと言えるだろう。

リビング学習のメリット

小学生を中心に、当たり前に行われるようになったリビング学習。なぜここまで急速に広まったのか?その理由には、リビング学習が持ついくつかの大きなメリットがあった。

学習開始のハードルが下がる

リビング学習を取り入れる大きなメリットとして、「子どもが学習を開始するハードルを下げられる」という点がある。ただでさえ面倒に感じる宿題や勉強。リビングを出て自室に行き、電気をつけて椅子に座り、教科書を広げてようやく開始…という事前準備はいかにもハードルが高く、大人でも中々腰が上がらないだろう。その点、リビング学習であればダイニングテーブルなどにつけばすぐに始められる。

そしてこの「すぐに始められる」というのが、実は大事なポイントなのである。始めることさえできれば、続けられるからだ。

人間の脳には、一つの作業を始めるとやる気が湧いてくる「作業興奮」という仕組みが備わっている。「やり始める前はあんなに面倒だったのに、取り掛かったら止まらなくなった」という経験はないだろうか?

それは、この作業興奮の作用によるものだ。作業興奮は作業開始から5〜10分で効果を発揮し始める。学習開始のハードルが低ければ、学習に着手しやすくなる。着手してしまえば、一定の時間学習を続けられる、ということだ。

集中できる・集中力をアップさせられる

リビングには、自室よりも集中できるというメリットもある。一人でいると、つい漫画を読んだりスマホをいじったり…とダラダラ過ごしてしまいがちだが、親の目があるとそうもいかない。親の目が届く範囲で学習することで、程よい緊張感を感じられるのだ。

特に低学年の子どもの場合、親の声かけなしで集中し続けるのは難しい。学習進捗状況を確認して「よくがんばったね」などと励ますことで、学習へのモチベーションが高まるのだ。

また、リビングにいると聞こえてくる雑音が集中力アップにつながるという側面もある。自室では無音でも、リビングでは生活音が聞こえてくる。家族の足音や料理をする音の中で勉強することで、雑音のある場所でも集中できるようになる。慣れないテスト会場でも、周りの雑音を気にせず集中する訓練にもなるだろう。

疑問点がすぐ解消できる

親がそばにいれば、学習中に生じた疑問点をすぐに解消できる。わからないところがあればすぐに「教えて」と助けを求められるのは、学習効率を高める大きなポイントだ。

また教育心理学では「即時確認の原理」という考え方がある。「即時確認」とは、学習者が解いた問題の正誤を即座に知らせること。答えが合っていたのか間違っていたのかすぐに知らせることが、学習継続のカギを握っているのだ。

「よくがんばったね」「えらいね」というほめ言葉を掛けられるのも、リビング学習ならでは。子どもの年齢が低ければ低いほど、親からのフィードバックを求める傾向にある。親に認められ、励まされることが、何よりも学習のやる気につながるのだ。

リビング学習のデメリット

子どもの学習意欲を高めるリビング学習だが、デメリットがないわけではない。リビング学習の効果を最大限に生かすためにも、デメリットとその解決方法を確認しておこう。

リビングが散らかりやすくなる

子どもが学習時に使う学用品が散らかりやすいのは、リビング学習のデメリットの一つだろう。教科書や参考書、ノートに鉛筆、消しゴム。定規やコンパス、分度器を使うこともある。学用品は、種類が多いうえに形もさまざま。子どもにとっても片づけにくいため、何気なくその辺りへポンと置いて紛失などということにもなりかねない。

散らかりや紛失を防ぐために、リビングにリビング学習用品の定位置を作ろう。戻す場所さえ決まっていれば、子どもも一人で片づけられる。後ほどおすすめの収納用品をご紹介する。

気が散る

リビングには親が近くにいて安心な反面、子どもの気が散ることもある。集中力を妨げる原因としてよくあるのは、こういった例だろう。

  • 家族の会話
  • 家族が見ているテレビ映像や音声
  • マンガやゲームなどの誘惑

特にきょうだいがいる場合は、テレビでアニメなどを見始めてしまうと集中するのは難しい。一緒に勉強をするよう促すなど、親の働きかけが必要になる。それでも気が散ってしまうようなら、リビング学習用のパーテーションを使うのも一案。テーブルの上に置くと囲いのような形になり、子どもが周りに視線を向けずに済む。

ダイニングテーブル&チェアが体に合わないことも

ダイニングテーブルとチェアは食事をするために作られた家具であるため、子どもの学習にはそぐわない場合がある。テーブルの天板が高すぎたり、チェアの座面が低すぎたり…。無理な体勢を続けていると、姿勢や視力が悪化する恐れもある。学習に適した姿勢を取れるよう、環境を整えたい。

ダイニングテーブルを学習机として利用したい場合は、高さ調節可能な学習椅子を導入するのがおすすめだ。リビングに置いても違和感のない、シンプルなデザインの商品も揃っている。また、高さを抑えたダイニングテーブルに替えるという手もある。こちらについては、後ほど詳しく解説する。

【学習環境を整える】便利なリビング学習用家具&グッズ

最後にご紹介するのは、リビング学習の環境を整える家具とグッズだ。ダイニングテーブルとチェアさえあれば始められるリビング学習。しかし、少し工夫するだけで学習のしやすさはグッと高まる。取り入れられるものから、少しずつ揃えていきたい。

コンパクトなデスク&チェアセット

リビング学習用の家具を置くスペースがある場合は、コンパクトなデスクとチェアのセットを買い足すと良い。夕食の準備などでダイニングテーブルを使用するタイミングでも、学習を中断せずに済む。壁に向かうように設置すれば、より集中しやすくなるというメリットもある。

またこういったタイプは同じシリーズで収納家具を展開している場合もあり、揃えて置くと統一感も生まれる。リビングのインテリアテイストと合わせれば、空間の雰囲気を壊すこともない。ちょっとした事務作業スペースとして、家族も重宝するだろう。

収納家具

リビング学習を成功させる上で欠かせないのが、教科書や参考書などをしまっておく収納家具だ。学習に必要なものが家中に散らばっていては、子どものモチベーションが下がってしまうだろう。

シンプルなカラーボックスでも代用できるが、おすすめは学用品に特化したもの。教科書や参考書だけでなく、ランドセルや体操服などの幅広い学用品に対応している。こういったリビング収納があれば、翌日の登校準備も子ども一人でできるようになるだろう。カウンター下に設置できるタイプを選べば、省スペースにもなる。

低めのダイニングテーブル

リビング学習を想定して、天板の高さを低く設計されたダイニングテーブルがあるのをご存知だろうか?通常のダイニングテーブルは、高さ70〜72cmほど。その高さでは、子どもが学習に利用すると高すぎて、無理な姿勢になりやすいのだ。

一方リビング学習対応型テーブルの場合、高さは66cm程度。少し低めの設計で、子どもの体に負担を掛けない。低め設計のダイニングテーブルは、小柄な大人が仕事をする際にもちょうど良い高さだ。

母親の在宅ワークスペースとしても活用しやすくなるだろう。リビング学習のためにダイニングテーブルを新調するのはややハードルが高いが、買い替えのタイミングであれば、選択肢の一つに入れてはいかがだろうか。

デスクマット

ダイニングテーブルで学習する場合、気になるのが消しゴムのカス。天板の素材によっては凹凸があり、筆記具がスムーズに動かせない場合もある。そんな時に役立つのが、デスクマット。汚れや傷からテーブルを守り、文字も格段に書きやすくなる。小さなパーソナルサイズも多数市販されているので、チェックしてみてほしい。消しゴムカスが散らばらないよう、フチがつけられたものも便利だ。

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