コロナ禍で注目を集める「仕事」と「暮らし」を両立させるリビング

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カヴァース編集部

新型コロナウイルスが猛威をふるい、2年以上が経つ。ウイルスに対する考え方、人と接触しない生き方など、今は「ウィズコロナ」として新しい生活様式が定着している。そしてコロナ禍で在宅ワークが一般的になり、自宅にワークスペースを望む声も増えた。その中には、リビングを仕事場として兼用したいと考えている人が一定数いる。

今回の連載では「ウィズコロナ時代の新しいリビング作り」と題して、コロナ禍のライフスタイルに合ったリビングの作り方を特集する。まずは、コロナ禍で人々の自宅の使い方がどう変わったのかを見ていこう。

コロナ禍で「仕事場」になったリビング・ダイニング

ライフスタイルそのものを大きく変化させたコロナ禍だが、人々の働き方も例外ではない。コロナ禍で一気に普及したのが、人との接触を避けられる在宅ワーク。新型コロナウイルス感染症対策として、厚生労働省も推進しているワークスタイルだ。東京都が行った調査によると、2022年6月の都内企業(従業員30人以上)でのテレワーク実施率は54.6%。都内では、現在でも過半数の企業で在宅ワークが採用されているのだ。

在宅ワーカーたちの仕事場は、主に自宅。特にリビングを利用している人が多い。国土交通省が2021年度に行った調査では、テレワークをしたい場所として約84%の人が「自宅」と回答。自宅の中に仕事用の個室がなく、リビング・ダイニングで仕事をしている人は約37%で最多だった。ただ仕事用の机・椅子がある人は40%台と低く、ダイニングテーブルなどを利用して仕事をする、多くの在宅ワーカー像が浮かんでくる。

一方で、在宅ワークで求める環境として約51%が「仕事用の個室がある」と答えた。「自宅での仕事には個室が最適と感じているが、部屋数の制約を受けてリビングやダイニングで仕事をしている」という人が多いのが実情なのだろう。純粋な憩いの場であったリビングが、コロナ禍を経て仕事場としての機能も果たすようになったのである。

在宅ワークのしやすさがカギ

在宅ワークが普及したことにより、居住地選びにおいても変化が見られた。前出の国土交通省実施調査では、雇用型就業者のうち13.7%が「転居の意向がある」と回答。さらに5.2%が、転居に向けた具体的な行動を起こしている。

転居の理由として最も多かったのが「広い住宅で暮らすため」。次いで「生活費が安いところへ転居して、生活費を抑えるため」であった。このことから「家賃が高い都市部を飛び出し、地方の広い家で在宅ワークをしながら、ゆったりと暮らしたい」と考えている層が一定数いることが推察できる。在宅ワークが定着した現在ならではの選択肢である。

また最近はリビング作りでも、在宅ワークを念頭に置いたものが目立つ。大き目のダイニングテーブルや、座り心地の良いソファとダイニングテーブルがセットになったソファダイニングなど、食事+憩い+仕事場と多彩な役割を担ったリビング作りが行れている。

コロナ禍をきっかけに広まった在宅ワークは、新しいワークスタイルとして定着している。そして多くの場合、自宅での仕事場はリビングやダイニングだ。これからのリビング・ダイニングは「在宅ワークのしやすさ」がカギになるだろう。

リビング・ダイニングで仕事をするメリット

多くの人が自宅での仕事場として選ぶリビング・ダイニングだが、具体的にはどんなメリットやデメリットがあるのだろうか?まずはメリットから確認しよう。

子どもの様子を見ながら仕事ができる

リビングでの在宅ワークには、子どもの様子を見ながら仕事ができるというメリットがある。小学校低学年くらいまでの低年齢の子どもがいる家庭では、特に重要なポイントだ。仕事部屋があったとしても、子どもが帰宅すればリビングで一緒に過ごす必要があるからだ。

リビングを仕事場にしていれば、宿題をしている子どもの横でPC作業、ということもできる。効率の低下はやむを得ないが、個室にこもっていてはできない子どものケアを同時進行で行えるのは、子育て世帯には見逃せないメリットである。

仕事の合間に家事ができる

仕事の合間に家事ができるのも、家事動線の中心にあるリビングならでは。メールの返信を待ちながら洗い物を片づける、休憩のついでに洗濯物を干す…ということも可能である。仕事に疲れた時は、家事が良い気分転換になることもあるだろう。リビングはキッチンや洗濯機に近い分、個室で仕事をしている時よりも家事に取り掛かりやすいという利点もある。

家具を買い足すコストがかからない

リビング・ダイニングで仕事をする場合、多くはダイニングテーブルとチェアをそのまま作業机として利用するだろう。そこにラップトップPCを持ち込めば、すぐに仕事を始められる。新しく仕事部屋を整えるケースと違い、家具を買い足す必要がなく費用が抑えられる。仕事部屋を準備する際、最低限必要になるのがデスク&チェア。それが不要になるだけでも、それなりのコスト削減になるだろう。

リビング・ダイニングで仕事をするデメリット

リビング・ダイニングでの在宅ワークはメリットが多いが、デメリットも存在する。仕事環境を快適に整えるためにも、デメリットやその対策もチェックしてほしい。

気が散りやすく集中しにくい

リビング・ダイニングが家族との共用スペースである以上、仕事に集中しにくくなるのは避けられないだろう。家族との会話やテレビの音など、生活音にさらされやすい環境である。また仕事に関係ないものが多数置いてあるため、意識が逸れてしまうこともある。

集中が難しい場合は、コンパクトなデスク&チェアを設置すると良い。周りをパーテーションで囲むとより効果的だ。オンラインミーティングの際には、パーテーションが背景となり便利である。

ダイニングテーブル&チェアだとPC作業をしにくい

作業机の代用品として便利なダイニングテーブル&チェアだが、食事を前提として作られているためPC作業には向いていないことが多い。PC作業には高さが合わず、姿勢が崩れ、長時間続くと肩こりや腰痛の原因になることも。

そんな時におすすめなのが、ワークチェアを買い足すこと。座面の高さ調節が可能なものが便利だ。ダイニングにも置きやすくインテリアを損なわない、コンパクトでシンプルなタイプも市販されているので、ぜひ探してみてほしい。

仕事道具の収納場所に困る

PCや書類、筆記具など、在宅ワークで使う仕事道具は意外と多い。リビング・ダイニングは、個室と違って都度仕事道具をきれいに片づけなければならないというデメリットがある。そして収納場所が決まっていないと、部屋が散らかる原因にもなってしまう。お部屋のサイズに合わせて、小さな収納棚やサイドチェスト、持ち運びできるファイルボックスやツールスタンドなどの便利グッズを活用しよう。

【出典】
東京都「テレワーク実施率調査結果」
国土交通省「令和3年度 テレワーク実態調査ー調査結果(概要)ー」

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