子どもの自立心を育てるリビング作りのコツ
【連載】ウィズコロナ時代の新しいリビング作り
- 【第1回】 コロナ禍で注目を集める「仕事」と「暮らし」を両立させるリビング
- 【第2回】 リビングにワークスペースを作る方法と効率アップできるアイテム
- 【第3回】 子どもの自立心を育てるリビング作りのコツ ←今回はココ
リビングを仕事場として利用する人が増える中で、その子どもたちの過ごし方も変わってきた。注目を集めているのは、子どもの自立心を育てるリビング。そこで役立つのが「テリトリー」という考え方だ。
シリーズ最終回となる本記事では、コロナ禍で変わりゆく家庭内でのリビングの役割と、子どもの成長を促すリビングの活用方法をご紹介する。
変化する「子どもが育つ空間」としてのリビング
コロナ禍では、親子が自宅でともに過ごす時間が増えた。主な理由としては、在宅ワークが一般化したことや、感染拡大期の外出自粛が挙げられる。実際に、内閣府が2020年に行った調査によると、子育て世帯の70.3%が「家族と過ごす時間が増加した」と回答した。在宅ワークの増加や外出自粛要請の影響によるものと見られる。
そして家族の時間の大半を過ごすのが、リビングである。仕事をする親の横で子どもが勉強したり、外出が難しい休日は親子で室内遊びを楽しんだり。自宅で過ごす時間が長くなればなるほど、リビングの重要性は高まる。特に子育て世帯なら、快適なだけでなく子どもを成長させてくれる空間作りを目指したいところだ。そこで注目してほしいのが、子どもの「テリトリー」という考え方である。
子どもの自立心を育てる「テリトリー」
「テリトリー」とは、子どもが安心して過ごせる居場所のこと。乳児期には、親の手が届くごく狭い範囲だけが子どものテリトリーだが、成長とともに広がっていく。幼児期にはリビング全体をテリトリーにして、児童期にはリビングを飛び出し、自分の部屋や自宅の外にもテリトリーを広げていく。そして成人した後は、自分の拠点を家の外に作るのである。
テリトリーを広げながら、子どもは成長していく。安心して過ごせる居場所を増やしながら、行動範囲を広げていくのだ。そして子どものテリトリー形成の中心となるのが、自宅。特にリビングは、乳児が最初にテリトリーを作る部屋だ。リビングの使い方を工夫することで、親は子どものテリトリー形成をサポートできる。ポイントは、子どもが自分の場所として使える場所を確保してあげることだ。
乳児期には、まずおもちゃ箱や収納箱を用意してあげよう。お絵かきをするようになったら、ローテーブルとそれに合わせた子ども用の椅子を準備する。ここではおもちゃで遊んだり、おやつを食べたりしても良い。おもちゃ箱やテーブル&椅子を与えることで、子どもの居場所を作るとともに、片付けや座って学習するためのトレーニングにもなる。
小学校低学年のうちは、まだ自分の部屋で勉強するのが難しい子が多い。親の目が行き届くリビングで学習できるように環境を整えると良いだろう。そして小学校高学年になると、自室を求める子どもが増える。自立を促すためにも、そのタイミングで子どもの一人部屋を与えよう。
リビングに子どもの居場所を作る5つの方法
乳児期から児童期まで、長期間に渡ってテリトリーの中心となるリビング。子どもの成長を促すリビングを作るには、どうすれば良いだろうか?ここからは、リビングに子どもの居場所を作るための具体的なアイデアを5つご紹介しよう。
フロアコーナーソファでキッズスペースを作る
乳児~幼児がリビングの居場所として使いやすいのが、キッズスペース。リビングの一角を子どもが「自分だけの場所」として使えるスペースだ。
そしてこのキッズスペース作りに役立つのが、フロアコーナーソファ。脚のないタイプの背が低いソファで、L字型になっている。このフロアコーナーソファをリビングの角に置くだけで、部屋を区切ることができるのだ。ロータイプで転落の心配がなく、おもちゃの散乱も防げるだろう。
小上がりでキッズスペースを作る
小上がりとは、一段高くなっているスペースのこと。「リビングにちょっとした個室を作れる」と最近人気の間取りだ。段差部分を収納として利用することが多いのも、小上がり設置のメリットの一つである。
この小上がりがキッズスペースに最適で、収納部分におもちゃをしまっておくこともできる。そして自宅に小上がりがない場合でも、後付けが可能だ。リフォームして追加設置することもできるが、「小上がりベッド」ならもっと手軽に取り入れられる。置くだけで小上がりスペースが作れるベッドで、昼は小上がり、夜はベッドとして使える優れものである。
ソファでゆるやかにキッズスペースを区切る
「手持ちの家具でキッズスペースとの境界を作りたい」という場合には、ソファを使う手もある。ソファを部屋の中央に置くだけで、空間をゆるやかにゾーニングできるのだ。ソファだけでなく、収納棚を置いても良い。その場合、空間に圧迫感をもたらさない背板のないタイプがおすすめだ。
家具を一つ置くだけで、同じ空間に異なる役割を持たせられる。手持ちの家具なら移動するだけの手軽さだ。ダイニングとリビングを分けたい時にも使える、簡単なテクニックである。
ラグを敷いて子どもの遊び場にする
ラグも、子どもの居場所を手軽に作れるアイテム。ラグを敷いた場所が、そのまま子どもの遊び場になる。「おもちゃで遊ぶのはラグの上だけ」と決めれば、散らかり防止にもつながるだろう。
飲みこぼしや食べこぼしが多い子どものために、お手入れしやすいラグがおすすめだ。洗濯や手洗いが可能なタイプだと安心である。他にも、パズルのように組み合わせて使えるジョイントマットや、紐を引っ張るだけでおもちゃの収納袋になるプレイマットなど、子どもの居場所作りに適した商品が多数市販されている。
コンパクトなデスクとチェアを用意する
子どもが小学校に上がったら、リビング学習ができる環境を用意してあげたい。ダイニングテーブルを利用しても良いが、学習時の姿勢に合わないことも多い。リビングの広さに余裕があれば、コンパクトなデスクとチェアを買い足そう。
勉強する場所と食事をする場所を分けることで、メリハリがつき、集中力アップにつながる。ランドセルや学用品をまとめてしまえる収納アイテムと併せて使うと、さらに効率が上がるだろう。親のちょっとした事務作業や在宅ワークにも兼用できて便利である。
リビングに子どもが安心できる居場所を作ると、テリトリー形成がスムーズになる。リビングの使い方次第で、子どもの主体的な成長をサポートできるのだ。便利なアイテムを取り入れながら、子どもの自立心を育てよう。
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