今からできる!住まいの防災対策ポイント

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カヴァース編集部

【連載】防災の観点からインテリアを提案

地震の際、転倒や落下してくる家具は危険な存在になりかねないが、適切な対策を施せば被害を最小限に抑えることが可能である。家具屋には、そのことを伝える義務がある。

万が一に備えて、住まいの防災ポイントを日ごろから意識することが大切なのだ。安心して暮せるための防災ポイントをいくつか紹介しよう。

安全を確保できるレイアウトに

家具のレイアウトは、重要な防災ポイントとなる。怪我や火災を防ぎ、安全に避難できるようなレイアウトを日ごろから心がけることが大切だ。気象庁は2007年の10月から、地震による強い揺れが始まる数秒~数十秒前に速報を出す「緊急地震速報」の提供をスタートした。この数秒間どう行動するかがとても大事になる。

命を守り安全に避難できるレイアウトであるか、以下のチェックリストに照らし合わせて確認してほしい。防災ポイントも要チェックだ。

【家具レイアウトチェックリスト】

まずは自宅の家具レイアウトからチェックしてみよう。

  • ドアや玄関付近に背の高い家具を置いていないか
    家具が転倒してドアが開かなくなり、閉じ込められないように
  • 廊下や通路に家具を置いていないか
    避難経路を塞ぐことがないように
  • いつも座る場所・寝る場所に転倒の可能性のある家具を置いていないか
    体の上に家具が転倒してこないように
  • ストーブ周りに転倒・移動・落下の危険のある家具がないか
    ストーブに家具が接触し火災が発生しないように

【防災ポイント】

次に、防災のために意識してほしいポイントをご紹介する。

  • 避難スペースとして、家具を何も置かない安全スペースを作る
    緊急地震速報が出たらすぐに移動できるスペースを確保しておく
  • 建物全体の形を確認し、家具を揺れにくい向きに置く
    建物の形から揺れやすい向きが判断できるので、家具の配置に役立てる

近年発生した数々の地震による教訓から、安全なレイアウトがいかに大切かということを学んできた。こうしたレイアウトの見直しを、積極的に行ってほしい。

家具を固定する

家具転倒防止対策に有効なのが、転倒防止対策器具を活用すること。転倒防止対策器具は、部屋の状況、家具のサイズや重さに合わせて選ぶ必要がある。タイプ別に紹介しよう。

L字金具

家具の転倒防止に最も効果的なのがL字金具。壁の桟と家具の桟をネジやボルトで固定する方法だ。東京都防災ホームページによると、L字金具にはスライド式・上向き・下向きなどのタイプがあり、下向き取り付けが最も強度が高くなる(*1)。背の高い家具・重さのある家具におすすめだ。

ベルト式器具

ベルト型に加え、チェーン型やワイヤー型などの種類があり、家や家具に合わせて選べる。大型家具や家電、キャスター付きラックなどに多く使われる。

連結金具

2段以上重ねて使用する家具類には、上下を平型金具で連結する。上下を一体化することにより、揺れによる移動を防ぐことができる。

ポール式器具

天井と家具の隙間をポール(突っ張り棒)で固定する方法。工具要らずで取り付けが簡単。必ず2本セットで設置する。天井と家具に接する面が広いタイプを選べば、さらに強度が増す。

ストッパー式

家具の前下部分に器具をはさみ込み、家具を傾斜させ、重心が下部にいくことで転倒予防する。設置が簡単だが、耐震強度は弱いので、ポール式器具や他の器具との併用が望ましい。

キャスター用下皿

フローリングや畳の傷防止や、キャスターのストッパー替わりに使われている、キャスター用下皿。地震の際に、キャスター付き家具の移動を軽減してくれる。

耐震マット

家具や家電、小物を固定できるジェルシート。種類が豊富にあるので、用途に応じて選べる。サイズは指先サイズのような小さなものから、大きなものまで様々だが、耐震マットには耐荷重が決められているので、重量に合わせたものを選ぶ必要がある。

注意点としては、転倒防止対策器具によっては、壁に穴あけが必要なものがあり、賃貸物件では許可が必要となる。持ち家の場合でも、壁が石膏ボードだと強度が足りず、横板など設置する工事が必要だ。

また、耐用年数や耐荷重もチェックが必要だ。劣化や荷重の加減で破損するようなことがあれば、せっかく家具を固定しても耐震の意味をなさない。

地震の揺れが大きいほど、家具は様々な動きをする。専用の固定器具を使い、徹底して家具の転倒防止に努めるよう、おすすめしよう。

適切な収納をしているか点検

適切な収納が防災に役立つことは、あまり知られていない。ポイントは「低重心」。例えば食器棚の場合、いちばん下のスペースには鍋類やペットボトルなどのストック類を置けば「低重心」となる。バランスが保たれ、家具の転倒や移動を軽減できる。

そして、食器の収納で覚えておきたいのが「中大小」。中皿→大皿→小皿と重ねれば、地震の際も食器の滑り出しを軽減できる。耐震マットや耐震ロッチと併用すればなお安心だ。アイテムによって収納の仕方を変えるのも、防災になる。

収納量、つまり物の多さも防災に関係する。物が多いと日頃から空間が埋まっており、万が一の時に揺れと共に物が散乱し、避難の邪魔になる。防災を意識するなら、日頃からすっきりとした空間を維持しておくのがベストだ。

災害に強い部屋は居心地が良い

防災を考えて、家具の転倒や落下のリスクを排除し、シンプルなレイアウトに整えられた部屋は、結局のところ、居心地が良い。

快適な住まいに、命を守ってくれる安全性が欠かせないということだ。ぜひ今すぐに取り組んでほしい。



【出典】
(*1) 東京都防災ホームページ「自宅での家具類の転倒・落下・移動防止対策」

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