ミッドセンチュリー家具に日本人が魅せられる理由

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カヴァース編集部

ミッドセンチュリー家具は色褪せない。

もちろん傷がついたり、カラーや素材が劣化したりと、経年による変化は避けられない。しかし、共に時を重ねるうち、ずっとそばに置いていたいと願う気持ちは色褪せるどころか、年々強くなる。使うごとに馴染んでくる家具は、手放すことのできない相棒になっていく。

なぜ、ミッドセンチュリー家具はそこまで人を魅了するのだろう。本記事では、ミッドセンチュリー家具自体が持つ魅力と、日本人が愛着を感じる理由について考察してみよう。

ミッドセンチュリー家具の魅力

第1回記事でも述べたように、デザイナーズ家具のうち「ミッドセンチュリー」と呼ばれるものは、1940~1960年に開花したインテリアスタイルのことを指す。

その時代に活躍したデザイナーたちが生み出した画期的な家具の人気は、半世紀以上経った今でも健在だ。ミッドセンチュリー家具がそこまで人々を魅了する理由を挙げてみよう。

シンプルで機能的なデザイン

ミッドセンチュリースタイルのデザイナーズ家具は、無駄のないシンプルなデザインが特徴。潔く無駄を省いた現代的なデザインは、機能的でありながら美しい。道具としての使いやすさを追求した機能美は、今の時代にも溶け込み、魅力を放っている。

さらにスタイリッシュな構造美は、とても半世紀以上前に生み出されたとは思えない新鮮さに満ちている。とはいえ、くつろぎや人間味を感じさせるあたたかみもあり、このバランスが絶妙だ。

インテリアの主役になる

ミッドセンチュリースタイルのデザイナーズ家具には、部屋にあるだけで空気感が変わるようなオーラを放つ存在感がある。デザイナーズ家具は、1点でインテリアコーディネートの主役となり、部屋のフォーカルポイントに。生活空間を一気に洗練させ、個性が際立つインテリアを叶えてくれる。

ほかの家具と調和する

ミッドセンチュリーデザインは、「主役になる」と同時に「調和する」度量も持ち合わせている。ミッドセンチュリー家具には、自由で多様性があり、曲線的で優しい空気感を持つという特徴がある。

パッと目を引く存在感を放ちながらも、不協和音を感じさせるどころか、優しく空間をまとめてくれるおおらかさを持つ。個性的であるにもかかわらず、ほかの家具と調和するデザインが多いのだ。

背景がある

戦争の苦難により抑えられていた喜びや快活さなど、人間らしさを復権するような時代に生まれたミッドセンチュリースタイル。その時の時代背景、どんな人がどんな思い入れを持ってデザインしたのか、どんなきっかけでプロダクトが誕生したのかなど、背景やエピソードを知ると、より魅力的に感じる。

そこにはFAST家具とは違う、独特の個性がある。歴史の一部に関わっている、そんな重みがあるのだ。

日本人の感性にあう理由

ミッドセンチュリースタイルは、日本人が好きな北欧デザインと交差している部分があり、愛好者が多い。次は、日本人の感性に響く理由について考えてみよう。

日本人の美学と一致する

日本人は工芸品に対する思い入れが強い。作り手に尊敬の念を持ち、職人の技術を高く評価して、物を大切に扱う。したがって、ブランドに対しての愛着も強い。

日本人のDNAに組み込まれている「侘び寂び」を美しいとする感性に、余分なものを削ぎ落としたミッドセンチュリーのミニマルなデザインが一致するのである。

STORYが好き

日本人はSTORYを好む。歴史的な背景、作り手の人となり、プロダクトにまつわるエピソードなど、知れば知るほど物への愛着は強くなる。素晴らしい商品が誕生し、今に至るそれぞれのSTORYは、大切に使い続けたいという思いにつながる。

生活に馴染む

曲線的で優しい空気感を持つミッドセンチュリーの家具は、日常の空気感と調和する。スタッキングできるなど、機能的でシンプルなデザインは、コンパクトな日本の住環境にピッタリだ。日用品として、使いやすく長く使える。毎日の生活に馴染む家具は、飽きることがない。

普遍へと昇華したミッドセンチュリー家具

端的に言ってしまえば、「戦争がやっと終わり、画期的な材質を使った大量生産で、でも使いやすくてカッコいいデザインにしよう」ということで誕生したのがミッドセンチュリー・デザイナーズ家具だ。デザイナーたちの「家具は美術品でなく暮らしの道具」であるというコンセプトが花開いた瞬間だ。

以来、この斬新な考えはインテリアのベースとなり、画期的なデザインは普遍的なものへと昇華した。毎日の暮らしに、時代の変遷を超えても愛されるデザインが存在する喜びは、何物にも代えがたい。

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