第2話:マルイチセーリングの画期的なアイディアが生まれた歴史

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カヴァース編集部

マルイチセーリングは、1980年代に発表した「スキップ」をはじめ、メイドインジャパンのオリジナルソファを作り続けている。世代を超えて末長く使用でき、高品質の100%国産ソファを作るマルイチセーリングは、常に家具業界をリードしてきた。そんなマルイチセーリングの画期的で高品質の商品がどのように生まれ、現在もヒットし続けるロングセラー商品となったのか、その歴史をご紹介しよう。

現在もヒットし続けるロングセラー商品「スキップ」

1972年1月株式会社マルイチ、1974年7月にマルイチセーリング株式会社を設立したが、常に右肩上がりではなく、低迷した時期もあった。そこで社員が一丸となって、実際にマルイチの製品を使っているエンドユーザーの意見に耳を傾け生まれたのが、1982年に発売された「床に暮らす」をコンセプトにした「スキップ」という商品だ。背もたれに身体を傾けて床に座っている人が多く、その使い方をヒントにして考案したモデルで、座面が床にくっついているようなローソファ。元々床に座る生活していた日本の文化の中で、どのようにすればソファが普及するかを考え、今までにないようなソファを作り出していった結果、これが大ヒットを記録。「マルイチセーリング」の名が全国的に有名になった。

 

発売以降、フロアライフという新しいライフスタイルのセンセーションを巻き起こしたロングラン商品となり、20〜30年と次世代に受け継いで愛用されている、長く使えるクオリティーも魅力。ローソファということで小さいお子様がいても安全なのだ。床に暮らすと天井が高くなり、家族の会話がはずみ、ゴロ寝ができて居心地がいいとブームとなった。

現在は、「SKIP 1 MINI」「SKIP4」という商品を販売しており、「SKIP 1 MINI」はリズミカルなキルティングカバーがモダンな印象を与え、リビング空間に多彩な表情を作り出す。冬はコタツにアソートして使用すれば、より快適な住空間を演出できるゴロ寝ソファの定番商品となった。「SKIP4」はキルティングを施した背と四角いフォルムが印象的なローソファ。フロアに近い高さのシートは、座り方の自由度が高いためゴロ寝やあぐら姿勢にとてもマッチする。さらにウッドベースや専用テーブル、背クッションをアソートすれば、さらにモダンな拡張型のリビング空間を実現する。

誰も思いつかない画期的なアイディア

その後、1983年に漆器・和紙・焼き物といった越前の伝統工芸とタッグを組んだ「床に暮らす」商品「jipangu / ジパング」を同年10月の東京国際家具見本市で発表。

ローソファのコンセプトはそのままに、「和」の伝統を全面に出したデザインで存在感を示し、問屋を省いた当時としては珍しい流通も相まって、多数のユーザーから満足の声が届く。この頃も〝マルイチスピリット〟である誰も思いつかないような画期的なアイディアを武器に、常にチャレンジングな姿勢で物作りに取り組んでいた。国内外から注目を集め、翌1984年6月にはアメリカ・ニューヨークにあるブルーミングデール百貨店で開催された「ジャパンフェア」にも「jipangu」を出品。マルイチセーリングの画期的で高品質の商品が世界で轟くこととなる。

企業スローガン「ライフスタイルファクトリー」

翌1985年11月の東京国際家具見本市では「ゴロ寝の座談会」をテーマに出店。展示会では業界初の試みとなる、コンパニオンを採用するド派手な演出で注目を集めた。営業マンが会場でカスタネットを鳴らし集客を行い、マルイチブースは大盛況に。絶大なインパクトを与え、来場者に「マルイチ」の名を知らしめることとなった。

 

1987年11月には東京・恵比寿で「生活製作所」をテーマに総合展示会を開催。「次世代に受け継ぐ」というフィロソフィーを具体化したのが、マルイチセーリングの企業スローガンでもある「ライフスタイルファクトリー」という言葉だ。「生活製作所」という明確なキーワードになり、この総合展示会で大いにPRした。同社ははただ物を販売するだけでなく、創業から生活のすべてを提案することに注力しており、ひとりひとりの暮らしのベースを作り上げるべく、現代の生活スタイルにフィットさせていくことも使命としている。例えば、現代でいうとスマホ片手にソファに座るなど、ひとつ屋根の下で生活していても家族団欒の時間が少なくなっている。その現状を踏まえ、「同じ空間の中で一体感が生まれて、どのようにくつろぎを提供できるか」を模索している段階だ。

圧倒的な品質力だからこそできる「10年保証」

2000年代に入ると業界初の長期保証を展開する。当時のインテリアメーカーでは考えられなかった「10年保証」を付けた商品を販売し、ユーザーに長く愛用してもらえるよう願いを込めた。この〝奇策〟が可能なのはマルイチセーリングの自信の裏付けだ。同社の強みは何と言っても圧倒的な品質力。独自に開発した、背もたれに寄りかかると自動的にリクライニングしてくれるソファは、構造的な箇所だと10年間の保証が付く。これは長く愛用しても「壊れることはない!」という自信があるからできることだ。

機械に頼らず、人の手を介して次々と生産されていくソファたち。丁寧な手仕事の物作りのこだわり。そんな家具職人たちが仕事をする上でもっとも大切にしているのが「基本」だという。「角をしっかりと合わせる」「ラインは真っ直ぐに」を念頭に置いて取り組むことで、想定外のことが起こっても柔軟に対応できるようになる。感覚が大きい部分もあるため、多くの経験を積むことでマルイチの看板となる一人前の家具職人と育っていくのだ。

 

前述の「スキップ」では20、30年と使用しているユーザーもおり、中にはある夫婦が結婚したときに「スキップ」を購入し、その子供がマルイチのソファで育ち、結婚されるタイミングでまた同社のお気に入りの製品を買うといったこともあった。世代を越えて喜んでもらうというのも家具メーカーの目指すところ。全世代に気に入られて、代々と受け継がれていくという、これほど家具職人冥利なこともない。

またモデルチェンジや販売終了であっても、現在使用しているソファの張替えやシート、クッションのカバーも購入することができる。お気に入りのソファを世代を超えて末長く使用できるのも、高品質の100%国産ソファの証だ。こういったクオリティーと信頼の高さが評判となり、東京インテリア家具、IDC大塚家具、島忠、アクタスなど、全国家具専門店でマルイチセーリングの商品が陳列されている。

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