人生の祝福 終章: 贈り物
【連載】人生の祝福 - 意味のある至福、シーリー -
- 【第1回】 人生の祝福 序章: 絶体絶命のピンチ
- 【第2回】 人生の祝福 第1章: 今のあなたに、必要なもの
- 【第3回】 人生の祝福 第2章: 至福の天使と、仕事の武人
- 【第4回】 人生の祝福 第3章: 幸せになってもいい
- 【第5回】 人生の祝福 終章: 贈り物 ←今回はココ
終章: 贈り物
あさ姉ちゃんとわたしでお金を出し合い、両親にシーリーのベッドをプレゼントした。
変わりものの娘なので、お父さんにもお母さんにも、心配のかけ通しだ。今も、早く結婚しなさいとか、孫の顔をとか、ことあるごとに言ってくる。
「まあ、このベッドで休んで」
そんな思いで、プレゼントを贈った。
一生懸命働いて、わたしたち姉妹を育ててくれた両親。
未だに現役で仕事を続けているし、きっと疲れることも多いだろう。シーリーのベッドなら、素晴らしい時間を過ごすことができる。じっくり癒されて、また次の日に頑張ることができるだろう。
良い寝室は、人生を豊かにしてくれる。実際、わたしはシーリーのベッドに感謝している。
仕事をしてくたびれても、辛いことがあっても、うちにあのベッドがあって、今日もあそこで至福の時間を過ごすのだと思えば、口角が上がるのだった。
職場でも、「久住さん、なんか最近良いことあった」と聞かれることがある。表情が優しくなったね、という人もいる。
そうかもしれない。自分でも思うけれど、同僚や、利用者さんに対しても、ずいぶん穏やかな気持ちで接することができるようになった。
これが、あのベッドの力なのだ。
「自分が幸せになれる時間を持つのって、大事」
あさ姉ちゃんは、よく言う。
「自分が豊かになれる時間って、本当に必要なの。ぎすぎすと自分を追い詰めてばかりじゃあ、誰も幸せになれないわ」
今、両親は、あのシーリーのベッドで毎晩眠っている。
わたしが味わったのと同じ至福を享受しているはずだ。
お母さんから、「あれすごくいいね。長生きできそう」というメールが入った。最も、その次に「だから早く孫を」という一文が入っていたのだけど。
自分が豊かで、幸せでいられる。
そうしたら、自分の周りの人にも、その幸せは移ってゆく。
不思議なことだけど、それは真実だ。人に伝染するのは悪いものばかりではない。ハッピー感も伝わる。
実は最近、荒木さんと喋るようになった。
話してみたら、なかなか面白い人である。
もう少し仲良くなれたら、家に遊びにきてもらおうかなと思う。
そうしたら、あのシーリーのベッドに触ってもらうチャンスも、あるかもしれない。
(幸せに、なって欲しいから)
今日も、腰をコルセットで固め、万全の装備で仕事に臨む。
おはようございます。お疲れ様でーす。
元気に笑えば、自然に笑顔が返ってくるように、幸せであるならば、幸せが返ってくるに違いない。
至福の天使の祝福を、みんなに。