【都会の喧騒から離れて】シックでモダンなベッドルームは50代夫婦が大切にする安らぎの空間

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カヴァースメディア部

ホテルの一室かと思うようなシックなインテリアに囲まれたベッドルーム。大きな窓からは、樹々の間から柔らかな朝日が差し込みます。部屋の主役は、落ち着いたウォールナット調をベースにしたロータイプベッド。マットレスの周りを縁どるサイドフレームが大人な印象です。

東京で第一線で働いてきた40代の夫婦。夫も妻も互いに忙しい毎日を送り充実した日々を過ごしていました。仕事もプライベートも夫婦それぞれのペースが確立しています。

ホテルライクでシックな印象のベッドルーム、主役はウォールナット調のロータイプベッド

結婚当初は今のような経済的な余裕はありませんでしたが、時間だけはたくさんあったので、お互いの仕事や将来の話を夜な夜な語り合っていました。今も決して仲が悪いわけではありませんが、共に過ごす時間はすっかり減っていました。こうして50歳になった頃に急速に広まったリモートワークの普及。例にもれず自分も妻も出社することが減り、家での時間が増えた頃でした。

「東京から離れて静かなところで暮らさない?」

突然妻が言いました。

「思い切ってベッドをキングサイズにして。うんと広いベッドルームがいいわね。あなたは眠るのが早いから、私はベッドの隣にラウンジチェアを置いて読書するの。樹々の合間から朝日が差して目が覚めるのよ。」

インテリアコーディネーターの妻の頭の中には、すでにイメージができ上がっているようです。

夫に異論はありませんでした。

実際、夫婦ともに在宅ワークが基本になると都心での住まいは手狭になっていたし、オンオフの切り替えも目下の悩みでした。どこか空気の良い自然豊かなエリアに引っ越して暮らすのもいいだろう。自然が豊かな場所なら趣味のトレッキングも思い切り楽しそうだ。出社の必要があるのは月に数回なので、なんとかやりくりできそうだな。そう夫は考え、妻の意見に同意しました。

「いいね。君がそう言うってことは、住む場所にも当てがあるんだろう。」

ベッドのある空間とラウンジ空間をラグが緩やかに分け、夫婦の穏やかな時間を演出します

ほどなくして、夫婦は東京から新幹線で1時間程度の避暑地に住まいを移しました。インテリアはほとんど妻のコーディネートでしたが、デザイナーの夫が好きな若いアーティストのアート作品が寝室の一番目立つ場所に飾られていました。ベッド横のラウンジチェアは、夫が独身時代から愛用している古いデザイナーチェアをリペアしたものです。ラウンジチェアが置かれている明るいホワイトの円形ラグが空間を緩やかに分けています。ベッドサイドとラウンジチェアサイドに選んだ照明が、上質な空間の中で静かに存在感を放ちます。

ここはただ寝るだけの部屋ではありません。一日の疲れを癒し、夫婦で語らい、豊かな明日の時間を生み出すための大事な場所なのです。インテリアや家具、調度品には夫婦それぞれにこだわりを持っていたため、お互い妥協をせずに意見を出しました。意見をすり合わせ、最終的に調整をしたのはインテリアコーディネータの妻でした。

「素敵なベッドルームでしょ。やっぱりこの絵がいいわね。ベッドもラグもあなたの好みも考慮してシックでモダンなものにしたのよ。」

「落ち着く空間だね。とても贅沢な気分だ。数年前に行ったヨーロッパで泊まったホテルを思い出すよ。」

「マドリードのホテルね。そうなの。壁紙や床のカラーを参考にしたのよ。」

妻の選んだインテリアのカラーリングも秀逸でした。モノトーンを基調にした壁紙は、単調にならないようにモールディングを施したことで空間に上質さをプラスしています。床は部屋全体が暗くなりすぎないように白い光沢のある大理石フロアを選択しました。ラグやベッドのファブリックも色味を抑えて質感の上品さを際立たせています。

部屋に散りばめられた家具や小物類には夫婦の物語が宿っています

都会で好きな仕事をひたすら駆け抜けてきた夫婦は、50歳を過ぎて人生のターニングポイントを迎えました。仕事が中心の生活も充実したものでしたが、いつしか限られた時間を自分のために、そして大事な人と心豊かに過ごす生活を求めるようになっていきました。

静かに夜が更けて行く中、夫婦はこの寝室で一日の出来事を語りあうのです。どちらかが先に寝てしまっても、あるいは朝早く起きても、パートナーが休んでいるその横で好きな本を開いて豊かな時間を過ごすのです。

「ねえ、このフラワーベースを買った時のこと覚えてる?」

妻が茶目っ気たっぷりの顔で言いました。

「もちろん、覚えてるよ。結婚した時にお互い休みをとって北欧をいろいろ回った時のことだったな。持って帰るには大きいし割れてしまうのも怖いし僕は正直渋ったんだけど、きみは買うと言って聞かなかったんだ。」

「結局船便で送ったのよね。でもこうして50歳にして始まった新しい暮らしでも立派に存在感を放ってくれているでしょ。」

夫婦にとっての楽しい思い出は、新しいベッドルームのあちらこちらに散りばめられているようです。二人はこれまでの思い出を一つ一つ思い出しながら語りあっています。そして次に旅行する場所の予定を立てることも忘れてはいません。これからもこの空間には夫婦の豊かな記憶と思い出が蓄積して行くのでしょう。

モノトーンで落ち着いた空間は、次第に思い出の色で彩られ夫婦の記憶を重ねていくに違いありません。

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