第1話: 日本人の睡眠を知り尽くしたベッドメーカー フランスベッドの歩みを知る

フランスベッド 歩み
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カヴァースメディア部

「フランスベッド」という名前は、おそらくほとんどの方が目にしたことがあるだろう。その社名から、なんとなく海外の会社だと思った人も多いかも知れないが、「フランスベッド」は生まれも育ちも日本、生粋の日本企業だ。なぜ「フランスベッド」はこんなに有名なのだろうか。

実は、日本人の暮らしにベッドやマットレスが受け入れられ、ここまで広く普及しているのは、フランスベッドの功績と言っても決して過言ではない。フランスベッドの存在がなければ、今の日本人の寝室スタイルは到底実現できていなかったはずだ。

昨今は、「とにかく商品の機能やそのメリット・デメリットが購入前に分かればよい」という人も多いが、その情報だけでは商品の本当の良さが見えてこないケースもある。商品の裏側や作り手のことを知り、安心・信頼して購入する。そしてお客様の睡眠を快適にして、暮らしを豊かにする。そんな想いを抱きながら、今回は「フランスベッド」というメーカーをご紹介したい。フランスベッドの歩みを知ってから商品を見てこそ、そこにこめられた想いをひしひしと感じとることができるだろう。

「日本人による日本人のためのベッド」作りの挑戦

フランスベッドの創業は1949年。今から約70年前までさかのぼる。東京都三鷹市に「双葉製作所」という名前で創業した。今や日本のトップベッドメーカーであるフランスベッドだが、はじめからベッドを作っていたわけではない。創業からの6年程度は、電動二輪車の車両用シートを製造する会社だった。そして、ベッド製造を開始したのは1955年(昭和30年)のことだ。

「これからベッドは日本人にとっても必要なものになる」

戦後の日本における欧米化を見越し、フランスベッドの「日本人による日本人のためのベッド作り」は始まった。この時代のベッドは、日本人に全く普及されていないのはもちろん、家具業界の中では最も売れていない家具の一つだった。

さて、どんなベッドを作ろうか。

ご存知の通り、日本人は畳・布団の文化。当時国内でのベッド製造はまだまだ珍しく、前例もそれほど多くはなかった。そのため、欧米のベッド作りを猛勉強しながら、日本人に合ったベッドを作るため試行錯誤を繰り返すしかなかったのだ。しかし、そんな状況でもフランスベッドがこだわったのが、「日本人のためのベッド」。外国人と日本人では体型が異なるので、海外のベッドをそのまま真似しても、日本人が快適に眠れるベッドは作れないと考えたのだ。

フランスベッド ソファベッド

そこでフランスベッドは、日本人の体型に合わせ、狭い日本の住宅事情に合わせたベッドを考えて、最初に作ったのは「分割式ソファベッド」だった。フランスベッドがとことん「日本人のためのベッド」を作り続けるのは、ベッド製造開始のときから受け継がれているこだわりなのだ。

ちなみに、フランスベッドがベッドづくりを開始した昭和30年というのは、およそ下図のような生活をしていた時代。前例が少ないこんな時代から、日本人に最適なベッドやマットレス作りをしようと考えたのだ。

フランスベッド

ベッドやマットレスが日本人に求められているかも分からないような時代に、このような挑戦をする企業は少なかった。そんな時代に、斬新なソファベッドを作ったのだ。それが今では多くの日本人がベッドやマットレスを愛用している。日本に現在のような寝室スタイルが取り込まれているのは、やはりフランスベッドの功績が大きいのだ。

日本人による日本人のための日本製マットレス作り

分割式ベッドが大ヒットし、なるべくして日本におけるベッド製造の先駆者となったフランスベッド。とにかくこだわり続けていることは「日本人のため」。「日本人には、どのようなマットレスが最も適しているのか」、それを50年以上考え続けているのだ。

フランスベッドは、世界中から日本人に最適なマットレス技術をとにかく探した。そして、まず1968年にイギリスのマルチラスティック社とライセンス契約を結び、現在のフランスベッドの最大の強みであるマットレスのコイル「高密度連続スプリング」の開発を始めたのだ。詳細な技術は後述するが、今なお業界の先端を走る技術を50年前に開発していたのだ。

フランスベッドは日本の気候や日本人の体型を常に考慮して、「多くの日本人が快適な睡眠を得るためには、どのようなマットレスを作ればいいのか」を一貫して考えているのだ。フランスベッドのものづくりにおいて、「日本人のために」という精神が忘れられることはない。

「もう少し柔らかいマットレスがほしい」

1985年には、アメリカのレゲット&プラット社と技術提携を結んだ。レゲット&プラット社によりもたらされたのは、ソフトな寝心地を実現できる高密度連続スプリングを作る技術。時代が移り変わっても、メーカーとしての基本を大切にしながら、日本人の要望の変化に柔軟に対応しているのだ。

日本国内で一貫生産、目指すは国内最高品質

フランスベッドは「日本人のためのベッドは日本でこそ作れる」という信念のもと、国内一貫生産にこだわっている。トップメーカーの工場ともなれば機械化が進んでいるイメージがあるが、実は想像以上に手作業で行う工程が多い。目視での確認や、素材の特性の見極めといった人にしかできない作業を経て、究極の一台が作り上げられるのだ。

私たち日本人は「国産」と名のつく商品に、全幅の信頼を置いている。特に食品は、「絶対国産を選んで買っている」という人も多いだろう。マットレスも同様に、日本人によって管理され、日本人が作っているマットレスでなければ作り出せない品質がある。フランスベッドの品質に対する意識や基準は相当に高く、「世界に誇る日本品質というのはまさにこのことである」と感じるほどだ。

まずフランスベッドでは、通常の国内品質のかなり上を目指しており、国家規格のJIS規格より相当に厳しい独自基準を設けている。「FES規格(FRANCEBED ENGINEERING STANDARD)」と名付けられた規格をクリアするため、様々な試験が実施されるのだ。例えば、高密度スプリングマットレスの場合、鋼線のねじり試験や引っぱり強度試験などが行われる。そして、極めつきは8万回強打する試験。8万回というのは、1日1回のペースなら約220年強打し続けても耐えうるということだ。

そしてフランスベッドでは、高密度連続スプリングを使ったマットレスは全て2年の保証を付けている。国内基準よりも高い品質を目指し、その自信から保証を付ける。こんなことを真似できるメーカーは他にあるのだろうか。

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