第1話: 「群馬県高崎に馬場家具あり」90年間追い求め続けるソファの品質

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カヴァースメディア部

実店舗の販売量は低下し続け、インターネット通販店舗の販売量が上昇を続けている中、昔ながらの家具メーカーの多くが苦戦を強いられている。そんな「逆風」の中、いち早く海外に生産拠点を移し、創業から90年もの間、品質をひたすら追い求め続けているソファメーカーがある。

メーカーの名は『株式会社馬場家具』。世界からその品質に対して一目置かれている日本のソファメーカーだ。

馬場家具は現在、「革」と「鉄」を使い、他にはない洗練された力強さが印象的なソファづくりに挑戦している。人生における末永い「相棒」にふさわしい馬場家具のソファづくりに、日本だけではなく海外にも多くのファンが存在する。今回はそんなソファの作り手であるソファメーカー、馬場家具の魅力に迫る。

ソファメーカーとしての馬場家具が誕生するまで

株式会社馬場家具は1929年に群馬県高崎市で創業。大衆家具の生産からはじまり、現在では90年以上の歴史を誇るソファ専門メーカーだ。今では世界に認められている馬場家具のソファ品質。この馬場家具という会社はどのように作り上げられてきたのか。その答えをどうしても知りたいと思い、まずは馬場家具の歴史にそのヒントを求めた。

馬場家具がソファ生産を始めたきっかけは、日本人の住環境の変化にある。ライフスタイルの洋風化が進みだした頃、馬場家具は当初、学校用の机や家具を作っていた。そして最終的にはリビングに欠かせない「ソファ」に目をつけたのだ。ソファ専門メーカーとしての馬場家具の誕生だった。

ソファ生産一本でやっていこうと決めた馬場家具は、切り出した木を乾燥させるところから自社工場で行うほど、ソファ作りに打ち込んだ。とことん理想のソファを突き詰め、時代に合ったソファを作ろうと奮闘したのだ。

国内の材料だけでは⾜りない…なら世界に⽬を向ける

群馬県高崎市でソファ生産をはじめた馬場家具だが、なぜ海外に生産拠点を移すことになったのだろうか。そこには、高崎という土地と日本の時代背景が大きく関わっている。

高崎という土地は、ソファを軸に考えた場合、材料の一大産地とは言えない。もともと大衆家具生産が栄えた小規模な材料産地ではあったが、ソファを作るための材料が豊富に手に入るわけではない土地なのだ。普通はソファ作りを諦めたくなるところだが、馬場家具は違った。恵まれた環境でなかったからこそ、国内に固執することなく、海外に目を向けるという選択をすることができたのだ。東京に十分に売り先を確保できているという点も、海外進出を後押しした要素の1つと言える。

時代背景の観点では、バブル崩壊により景気は下降し、家具量販店である小売りメーカーが権限を持つ時代を迎えていた。この時期は生産メーカーがメーカー名を出すことができず、小売店の看板で商品が売られるのが当たり前だった。

「このままでは小売店主動でどうにもならない」

ソファは欧米デザインが主流ということもあり、国内生産を続けるだけでは、ソファメーカーとして生き残れないと馬場家具は考えた。そこで、国内工場を中心に、足りない部分を補う目的で海外に生産工場を置くこととなったのだ。

まずは、カバーのような部分パーツを海外で生産し、国内工場でのソファ生産に活かすことからはじまった。が、上海やベトナムに生産拠点を設けた当初は、材料の質の悪さに悩まされたという。例えば、当時ヨーロッパや欧米のメーカーが拠点を置いていなかった上海では、材料の質が低く、粗悪なものばかりだったのだ。

「本当に今まで高い授業料を払ってきました」

それでも、そんな困難に直面しても馬場家具は諦めなかった。数多の失敗を繰り返しながら、新しいもの好きな性格も相まって、質に妥協することなく、より良い材料を求め続けたのだ。それはまるで、国内で材料に恵まれなかったシェフが海外に食材を求め、世界を相手に腕を磨き続けている姿と重なる。逆境の中を生き抜いてきた馬場家具だからこそ、美食家たちを魅了する一皿のような、唯一無二のソファを生み出しているのだろう。

馬場家具が手に入れたのは「アジア唯一」の称号

馬場家具は地道な努力を繰り返して、グローバルに通用する家具メーカーとしての階段を上っていった。ドイツにある世界的革メーカー「HEWA」。HEWA社は世界有数の革メーカーで、そのレザーはドイツやイギリスの名だたる高級車の内装にも採用されている。現在、馬場家具はHEWA社と取り引きを許されている「アジア唯一」の企業。これは、いち早く海外でのネットワークを構築し、「高い授業料」を支払ってきた馬場家具だからこそ勝ち得たものに違いない。

実はドイツやイタリアといった世界有数の高品質レザーは、それらの国々のメーカーも使いたいと思っているため、地産地消が基本であり、他の国に供給されることが非常に少ないもの。馬場家具は日本のメーカーでありながらそれを実現しているのだから驚きだ。世界で一流の革メーカーがアジアで唯一お墨付きを与えているのだから、馬場家具のソファ製造に対する実力は証明されているようなものだ。

馬場家具のソファこそ「一生もの」にふさわしい

長く愛用できるソファを探し求めている人は多いが、果たして「一生もの」と呼べるソファはこの世にどれだけあるのだろうか。実際のところ、本物に出会える機会はそう多くはない。しかし、間違いなく、馬場家具のソファは「一生もの」にふさわしい。馬場家具の人たちと話していると、90年続いているソファメーカーとしての底力や覚悟、プライドがひしひしと感じられる。そんな彼らが作り上げる馬場家具のソファにも、90年以上品質を求め続けてきた誇りと実力が息づいている。その息吹を感じたら、馬場家具のソファに魅了されずにはいられないだろう。人生の相棒として傍に置くなら、馬場家具のソファを選びたいものだと強く思う。

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