第3話: 馬場家具の強みは「挑戦」

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カヴァースメディア部

立地的な強みを徐々に失っていき、ソファ生産に不利な環境でのソファ作りを強いられた馬場家具。他にも同じ境遇に置かれた企業はいくつもあったが、そのほとんどは答えを出せずに衰退していった。しかし馬場家具は、いち早く海外に生産拠点を求め、ソファを生産する技術を磨いた。その回答は、まさに馬場家具のチャレンジ精神そのもの。チャレンジ精神は馬場家具の原動力であり、世界中から低価格で良質なレザーを調達できる環境を自ら作り出したのだ。

そんな馬場家具のチャレンジ精神は、創業から90年経った今でも廃れることはない。世界に認められるソファメーカーになってからも馬場家具はチャレンジをし続け、現在はソファのフレームに「鉄」を採用した商品の生産に取り掛かっている。これも度重なる試練を一丸となって乗り越え、常にチャレンジし続けてきた馬場家具だからこそ生まれた発想なのだ。

常識を覆す「鉄」フレームのソファはなぜ生まれたのか

現在、ロボット掃除機が各家庭に広く普及してきており、ソファの下もロボット掃除機で掃除したいという需要が非常に高まっている。その要望に応えるためには、ソファにある程度高さのある脚を付ける必要があるが、快適に座れる座面の高さは決まっているため、座面が高くなりすぎては使い心地に支障が出てきてしまう。それなら、座面を薄くすれば良いのではないか。そんな声が聞こえてきそうだが、実は、これもそう簡単なことではない。座面を薄くしすぎると強度が低下し、一定の耐久性を保てなくなってしまうからだ。

「ソファの土台に鉄を採用する」

この難題に対して、馬場家具は答えの一つを導き出した。ソファのフレームと言えば木材が一般的だが、その常識を覆し、「鉄」をフレームの材料として使ってみる、ということを試みたのだ。一般的には、「ソファの強度を高める」という課題に対しては、強度の高い木材を使う、補強するために木材を増やす、といった解決策になるのが普通だろう。しかし、強度の高い木材を使えばコストが大幅に上がり、木材を増やすとソファの美しさが低減してしまう。

そこで、馬場家具は「ソファは木材で作るもの」という常識にとらわれず、座面の厚さを必要以上に削ることなく、鉄を使って理想のソファを作り出す、ということを試みたのだ。もちろんこのチャレンジも一筋縄で進んだわけではない。職人たちが手作りで多くのトライアンドエラーを繰り返して生み出した、新しい素材への挑戦。もちろんこの挑戦も、世界中の指摘を受けながら、改善し続けているのだ。

「鉄」×「革」 サスティナブルなソファの誕生

馬場家具が新しくフレームの材料として鉄を採用した理由は、耐久性や洗練された見た目だけではない。鉄は、木材のように森林を伐採する必要のない素材。自然環境を破壊しない上、再利用することもできる。サスティナビリティという観点を満たし、今の時代、さらには将来に合った材料の1つと言える。

また、張地に使われる「革」にも、馬場家具は高品質かつサスティナブルなものを採用している。アジアで唯一馬場家具のみ取引を許されているのが、先進的な世界的革メーカーであるドイツのHEWA社。HEWA社では、乳製品や食肉産業の副産物であり廃棄物でもある「皮」を「革」に生まれ変わらせているのだ。馬場家具は、仕入れた革を熟練した職人の手作業で裁断。こうすることで無駄も生まれない。

「無駄なく、そして最大限良さを引き出す」

材料に恵まれない環境でソファを作り続けてきた馬場家具にとって、それは至極当たり前のこと。それはまさに時代が求める家具メーカーの在り方。馬場家具が生み出した「鉄」×「革」のソファは、素材ひとつとっても新しい時代を象徴する1台に違いない。

「時代に合った一生もののソファを作る」

ソファとしての完成形にこだわり、常にチャレンジを繰り返してきた馬場家具の真骨頂と言えるのではないだろうか。90年以上チャレンジし続ける馬場家具は、どんな時代においても、一生を共に過ごす相棒にふさわしいソファを作り上げている。その尽きることのないチャレンジ精神で、“非”常識なソファを生み出し続けることだろう。こんなに使い手の好奇心を刺激してくれるソファは他にない。

作るだけではない 「再生」のプロでもある

現代の私たちはあまりにも大量に生産された商品を低価格で消費していく、ということに慣れ過ぎている。ソファを新しく購入しても、数年使って捨ててしまうことも少なくない。ソファは暮らしを変えるもの。たった1台のソファが人生を豊かに変えてくれることもある。サスティナブルという考え方が広まった現代においては、一緒に人生を歩んでくれる「本物」のソファを迎え入れても良いのではないだろうか。

とは言え、いくら最高品質のソファでも、買った時の状態が永遠に続くわけではない。へたってきたり、座面や背もたれの生地が傷んでしまうことも多いだろう。そのような場合、大量生産された低価格のソファばかりに慣れてしまっていたら、すぐに「捨てる」という選択肢を選んでしまうのではないだろうか。馬場家具のソファは違う。馬場家具のソファであれば、「再生」という選択をすることができるのだ。馬場家具には再生校舎という仕組みがあり、革だけでなく、内部のクッション材まで細かくチェックして修理を行う。

「修理のイメージは購入当時の見た目や座り心地を再現することです」

果たして、ここまでこだわるソファメーカーがこの世にどれだけあるだろうか。馬場家具がソファを作るプロフェッショナルであることは間違いないが、まさかソファの再生までできてしまうとは考えもしなかった。ここまでのこだわりがあるのであれば、馬場家具のソファを使いたいと思う人は多いのではないだろうか。まさに、一生愛することができるソファが手に入るのだ。

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