第1話: 『マルイチセーリング』の存在感 時代に先駆けてUPDATEする感性と行動力

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カヴァースメディア部

2008年「ミラノサローネ」。私はそこに居た。海外見本市ならではの熱気と洗練された雰囲気に圧倒されるなか、ジャパンブースに佇む「WASHI-SOFA」に出会う。洗練された趣の、存在感あるソファを目の前にして、日本人としてなんだか誇らしい気持ちになったのを覚えている。今回、あの時の「Washi-Sofa」がマルイチセーリングの作品だということをはじめて知った。

1950年に「小林椅子店」として福井で開業したマルイチセーリング。

もともと越前・福井は、かつて京都の朝廷に上質な工芸品を献上していたという、代々モノづくりが盛んな土地柄。古代から大陸への玄関口として繁栄したこともあり、モノと人との交流が盛んで、華やかな文化が存在した。当時の最先端技術を活かしたトレンディなデザインは、帝や朝廷セレブ達のハートを掴み、評判だったに違いない。

そんなモノづくりの文化で生まれたセンスや確かな技術は、脈々と受け継がれてきた。

豪雪地帯でもある福井。そうした土地からモノを運搬するにはかなりの行動力が求められる。こうした行動力と時代に先駆けてUPDATEする感性が結びつき、マルイチセーリングは次々と新しい発想をカタチにしていった。老舗家具メーカーの枠を超えた、着眼点、挑戦が、今のマルチセーリングを形成している。

マルイチセーリングが商品に込めたストーリー

家具業界の時代の先駆者「マルイチセーリング」の正体

第0話: プロローグ - マルイチセーリングの「着眼」

第1話: 『マルイチセーリング』の存在感 時代に先駆けてUP DATEする感性と行動力 ← 今回の記事

第2話: ひとつの方向だけにとどまらない特別な役割

第3話: 新たに挑戦を重ねて新価値を生み出していく

第4話: 【ブルーのフロアソファ×大人シック】壁面収納が引き立つモードなリビング

日本人のDNAへアプローチ

マルイチセーリングのアイコン的なソファといえば、「SKIP/スキップ」。『床に暮らす』がコンセプトだ。1982 年に発表されたこのソファは、床に座りつつソファにもたれるという、日本人独特の使い方にヒントを得て考案された。床に座るとなんだかホッとする、という日本人のDNAへアプローチした戦略が見事大ヒットする。今ではスタンダードなフロアライフを提案するきっかけになった。その後「SKIP 1 MINI」「SKIP 4」という商品へと進化して、40年経過した現在でも、ローソファの定番として愛されている。

この「SKIP 1 MINI」「SKIP 4」のメリットは、ゴロ寝やあぐら姿勢ができるということ。床に近い位置でリラックスして過ごすのに最適なソファだ。日本の冬の風物詩であるこたつとの相性も抜群。「SKIP 1 MINI」「SKIP 4」を組み合わせることにより、こたつをスタイリッシュなインテリアに見せるというUP DATEも可能にしたのだ。

100%国産へのこだわり

創業当初から「100%国産ソファ」にこだわってきたマルイチセーリング。熟練した職人達により丁寧に選定された素材を使用。ソファに使われる部材はすべて国内で生産、小さなひとつひとつの金具までも地場のものを使い、製作しているというこだわりようだ。

「ALBA/アルバ」ソファの例で考えてみよう。

「ALBA/アルバ」で選べるオイルフィニッシュレザーは、北海道で育てられた100%国産ホルスタイン牛の厳選された原皮を使用。ナチュラルな質感のしなやかな最高級レザーだ。オイル仕上げなので、アニリン染料やセミアニリン仕上げのレザーと違い、シボや色味の味わいを感じられ、使い込むごとに味わいを感じ、永きにわたり経年変化を楽しめる。丁寧にメンテナンスしつつ、愛でながらソファを育てていく感覚を味わえる。取り扱いが難しいオイルフィニッシュレザーを採用するにも理由があるのだ。

ラフな感じでソファを使いたいなら、綿100%のインディゴデニムがおすすめだ。こちらは岡山県井原地区のインディゴデニムを使用している。昔ながらのシャトル織機で織られたレアな22.5オンスのスーパーヘビーオンスデニム。リーバイス同様右綾デニムなのもうれしいポイントだ。使い込むごとに出てくるタテ落ち具合により、ヴィンテージ感を楽しめる。

綿100%の酵素の帆布素材にもこだわっている。安易な染料を使わず、バクテリアでバイオウォッシュ加工を施しているのだ。そうすることにより、しなやかな肌触りを実現。中国産や南アジア産の帆布を目にする機会が多い今、国産の帆布は貴重だ。

低価格で手軽な輸入品に頼るという選択肢を選んだメーカーは数多くある。ただ防虫剤、化学染料、生産者の生い立ちが辿れない素材には不安がつきまとう。

高品質を追い求めるマルイチセーリングは、国産100%にこだわっている。

受注生産方式でオーダーメイド感覚

20年近く前、当時の一般的な家具メーカーのスタンダードな方法は見込み生産だった。販売計画を基に同じ製品を大量に製作して在庫しておくシステム。そんな中でいち早くマルイチセーリングは受注生産方式を採択した。張地やサイズ、カラーなどカスタマイズできるシステムを取り入れたのだ。当時としてはとても画期的なこのシステムは、周りからは「何それ?」と理解してもらえなかったそう。

時代とともに、ソファ選びは自分だけのオリジナル感や、唯一無二のソファを求める傾向へと変化してきた。大きな買い物となるソファ選びは絶対に失敗したくないものだ。座面の硬さやパーツ、張地の素材など、こだわって選べるオーダーメイド感覚な注文の仕方は、時代のニーズに合っている。やっと時代が追いついてきた。

マルイチセーリングの存在感は、この感性と行動力に裏打ちされているのだ。

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