第3話: 新たに挑戦を重ねて新価値を生み出していく

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カヴァースメディア部

外国で過ごすと、日本独自のライフスタイルの居心地の良さに改めて気付かされることがある。例えば、靴を脱いで部屋に入るという習慣。床で立膝ついたり胡座をかいてゆったり座ること。ソファに長時間座っていると、ソファの上に足を乗せて胡座をかいたり、寝転がったりしたくなる。

やはり日本人のDNAには「床座り」が組み込まれているようだ。

マルイチセーリングはいち早くこのことに気がついた。ソファが普及しはじめた頃、エンドユーザーから、「リビングにソファがあってもソファ自体には座らない」という衝撃的な話を耳にする。ソファを背もたれにして、床に座っている人が多いということが判明したのだ。社員一丸となって考えた。こうしてマルイチセーリングの、新たに挑戦し続けて新価値を作り出すスタンスが定まっていった。

マルイチセーリングの企業スローガンは「LIFESTYLE FACTORY」。暮らしにあった滞在的なニーズを掘り起こし、私たちの「どんな暮らしがしたいか」に寄り添ってくれる。

画期的だけど温故知新な「床に暮らす」というコンセプト

日本人は床に座る暮らし方に古来から慣れ親しんできた。畳や床の上で、ゴロゴロ寝転がったり、くつろいだ姿勢でおしゃべりしたり…。床に近いと安定感があり、なんとなく落ち着く。

高度経済成長期に入ると、住宅は西洋化していく。日本人の生活様式は、床座から椅子座へと代わり、一般家庭のリビングにもソファが配置されるようになった。この時代のソファの主流は大きくて背の高いソファ。そんな時に聞こえてきたのが、前述の「ソファがあっても座らない」「ソファを背もたれにして床に座る方がラク」などという本音。

マルイチセーリングの若手デザイナーは「もっと日本の暮らしに合うソファがあってもいいのでは?」と考えた。床に座るような感覚で座れる、低いソファ。ソファという固定観念をいちど壊さなければ出てこない、誰もトライしたことがない画期的なアイデアだった。

「床に暮らす」というコンセプトのもとに開発されたのが「SKIP/スキップ」ソファだ。

ソファに不可欠と思われていた木枠やバネを使わずに、ウレタン構造を採用。座面を低くし、床の延長のような感覚でくつろげるデザインに仕上げた。画期的でありながら、温故知新のアイデアを落とし込んだ「SKIP/スキップ」を完成させたのだ。1982年発売当時、この斬新なソファは、家具業界に一大センセーションを巻き起こした。以来、数回のモデルチェンジを経て、現在も「SKIP 1 MINI FLOOR SOFA」として愛されている。

今でこそ、インテリアの分野で「ローソファ」「フロアタイプ」などという言葉を当たり前のように使っている。あのとき、マルイチセーリングが新たに挑戦して新価値を生み出した成果だと感じる。

取り扱いが難しいからこそチャレンジする

ここで、マルイチセーリングこだわりのオイルフィニッシュレザーについても紹介したいと思う。

マルイチセーリングのソファソファに使われているオイルフィニッシュレザーは、職人とじっくり作り込んだものだ。北海道で育てられた100%国産ホルスタイン牛の厳選した原皮を染色し、丁寧にオイル仕上げされた最高級のフルグレインレザー。保温性や吸水性に優れているので、夏の暑い時期のベタついた感じや、冬のひんやりとした冷たさを感じさせない。何よりもしなやかな革本来の感触を思う存分味わえる。使い込むほどに味わいが増し、永きにわたり経年変化を楽しみ、「革と共に暮らす」ことができるのだ。

ところがオイルフィニッシュレザーは、取り扱いが難しいのだ。

まず縫製は、オイルフィニッシュレザーの特徴を生かす方法を取り入れなければならない。難しいカーブの縫製などは特に高度な技術が求められる。本体に縫製された立体カバーを貼る上張工程でも、細心の注意が必要だ。シワが寄らないように、かといって必要以上に引っ張らないように、絶妙の塩梅で貼らなければならない。ここでも熟練の技術が求められる。こうした技術力の集結により、マルイチセーリング自慢のプレミアムモデルが誕生した。

取り扱いが難しいからこそ、チャレンジする価値があるのだ。

持続可能なデザインに挑むことで作り手も使う人も幸せに

私たちの「LIFESTYLE」は必ず変わっていく。家族が増えたり、環境が変わるかもしれない。その都度、LIFESTYLEに合わせたソファを買い換えるという考え方が一般的だ。なぜなら、安くて簡単に買い替えられる、それなりにお洒落なソファはたくさんあるからだ。

マルイチセーリングのソファは、そうはさせない。永く・快適に・安心して使える持続可能な家具への製作にこだわっているのだ。

先ほど紹介した「SKIP/スキップ」ソファは、40年たった今でも当時のお客様からカバーの注文があるという。作り手冥利に尽きる話だ。

「肘部分など傷みやすい部分だけカバーを購入したい…」などというオーダーにも対応する。たとえモデルチェンジや販売終了したソファであっても、張り替えやシート、クッションのカバー替えに対応してくれるのだ。リクライニングなど、ソファ自体の構造的な箇所には10年間の保証がついている。アフターケアは万全だ。可能な限り修理をしてくれて、永く愛着をもって使える。使い手にとっても幸せなことだ。

もちろん地球にも負荷をかけたくない。2000年にISO14001を取得して以来、廃棄物の発生を削減し、再生利用・再利用に取り組んできた。ソファの製作過程で余った本革を活用した「ミスターレザー」ブランドもそのひとつだ。どうしても余ってしまう素材を廃棄することなく、新価値をプラスして仕上げている。サステナブルな視点でこれからも新たな挑戦を仕掛け、戦略を練っていくだろう。

次世代に受け継ぐ「LIFESTYLE FACTORY」を提案し続けるために、マルイチセーリングは立ち止まることなく進化していく。今後もどんな挑戦を重ねていくのか、目が離せない。

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